日本でも多数出現…「自粛警察」の心理を理解できますか?

「正義」はこうして暴走する
原田 隆之 プロフィール

コロナ警察の心理

さて、ここで「コロナ警察」に話を戻すと、これらの心理学的知見からいえることは、第一に彼らは、過剰に集団主義的で、集団のルールを個人の自律や尊厳よりも過度に重視する人々だといえる。

たしかに、公衆衛生の重大局面において、社会が一丸となってルールを守らなければ、集団は感染の蔓延という大きな危機に瀕してしまう。

誰もがその大きな集団的利益のために、個人的利益を犠牲にしている。一方、個人的利益ばかりを追求している人がいたら、それは集団にとって危機を呼び込む存在である。

「コロナ警察」は、社会を守るという「正義」を盾にして、ルールを守らない者は「罰」を与えるべきだと考え、過剰に行動する。

とはいえ、「コロナ警察」には、他人に罰を与える権限が集団から付与されているのだろうか。また、その目の前の小さな違反は、集団全体を危機に陥らせるほどのものだろうか。このような合理的判断を欠いているために、彼らの行動は過剰であり、ヒステリックだといえるのである。

 

第二に、彼らは自身で物事の判断をするという知的労力を放棄した人々であるといえる。「ルール」にがんじがらめになるあまり、個々のケースを状況に沿って丹念に判断することができない人たちであり、知的柔軟性を欠いた人たちである。

たとえば、「ライブハウスはクラスターになったから危険だ。自粛すべきだ」という考えでがんじがらめになっている人がいる。一方、ライブハウスの経営者は少しでも経営努力をしようと思って、客を入れずに演奏してオンライン配信したりしているが、その音を聞きつけて貼り紙をしたり嫌がらせをしたりする人がいる。もはや、感染防止という目的がどこかに消し飛んで、「ライブハウス=悪」としか考えられずに愚かな行動に出ているわけである。