このまま「日本はコロナ封じ込めに成功した」ことにしていいのか

具体的支援ないまま緊急事態宣言解除
笹野 大輔 プロフィール

少数の不正による停滞よりも

一方で、日本は一部の不正に気を取られているせいか、新型コロナ対応は遅々として進まなかった。オンライン授業が始まらなかったせいで勉強の遅れが全体に出ただろう。仮に、行政としてデバイスやネット回線を支給することに無理があるとしても、NHKはなにをしていたのか。NHK教育テレビなどで学校の授業を流せばいい。要点を凝縮させた各授業15分くらいのテレビ授業であってもいいだろう。24時間流せば各学年で必要な授業を予約録画もできる。

あるいはyoutubeにある予備校の授業のように、学校の先生が授業を録画してDVDで各家庭に配布すればいいではないか。先生が口を揃える「従来の授業でなければ生徒の理解度がわからない」などは言い訳にすぎない。そもそも日本人は授業中に質問をほとんどしないだろう。

ニューヨークにある日本の高校にあたる慶應義塾ニューヨーク学院では、3月18日に全校生徒を日本に帰国させ、4月3日からオンライン授業を始めている。話を聞いた先生によると、オンライン授業が始まるまでは先生間でどういった授業がいいのか議論したという。結果的には、生徒からの質問に答えるオンライン授業が主流になり、生徒の習熟度合いは宿題やクイズなどで先生が知る方法をとり、体育の授業に至っては、運動している様子を生徒自身が動画を撮り、それを送らせることで、ニューヨークにいる先生が確認、採点をしている。

私立高校にできて公立高校にできない理由はないだろう。日本は1億総マニュアル化社会になっているのかもしれないが、非常時には非常時の対応をしなければいけない。

 

日本は平均して優秀な人が多く、仕事もきちんとこなすので、平時では特に問題のない国として認識していた人も多いだろう。だが今回で気づいた人も多いのではないだろうか。日本は、緊急対応や危機管理に対してものすごく脆弱な国なのだ。例えるなら、準備が整ってから始める野球は得意だが、サッカーのように瞬発力や即断力を求められると苦手な国民性でもある。

そして公平という観点も、なにか手を繋いで同時にゴールする小学校の運動会のような対応が正しいと考えているふしがある。だからアベノマスクの配布も遅れたのだろう。マスクなどは感染者の多い地域から優先順位を付けて、できた順から送ればいいだけだった。子供たちへのオンライン授業も同じく、家庭にネット環境がない人は回線付きのデバイスを送れば始められた。