このまま「日本はコロナ封じ込めに成功した」ことにしていいのか

具体的支援ないまま緊急事態宣言解除
笹野 大輔 プロフィール

アメリカのシンクタンク・ピューリサーチセンターが4917人に調査したところ、新型コロナ拡大期において「学校が生徒にデバイス(パソコン・タブレット)を用意すべきか」という問いに対して80%の人が配布すべきと答えた。政党支持別では、共和党支持者の70%が賛成、民主党支持者の89%が賛成だった。

ニューヨークは圧倒的に民主党支持者が多い州なので、オンライン授業のためのiPadの配布が早かったのかもしれないが、財政支出を抑える小さな政府(共和党)を支持する人でも70%の賛成があることは大きな意味を持つ。個人の思想が違っていても、アメリカではそれだけ子供たちの学業を優先しているのだ。

オンライン授業に移行した理由としては、子供も新型コロナに感染する可能性があり、集団行動は感染リスクが高い、という当たり前の話だが、川崎病に似た症状が子供に多く出ていることも挙げられる。新型コロナに関連しているのではないかと疑われている川崎病に似た症例は、世界中で報告され、ニューヨーク州の5月21日の発表だけでも157名に症状が出ていることがわかった。死者も出ている。ニューヨークのクオモ州知事は、それらを鑑み、9月からの学校の新学期について「現時点で何らかの決定を下すのは時期尚早」と答えている。

不正を過度に恐れ、全体を遅らせている

日本では10県で学校が再開しているが、公立学校のオンライン授業への移行はかなり遅れた。現在日本の公立でオンラン授業はほとんど行われていない。理由はデバイス(パソコン・タブレット)を持っていない家庭やネット回線が揃っていない人がいるから、とされている。

しかし、総務省による「平成30年度通信利用動向調査」の調べによると、ブロードバンド普及世帯は97.4%となっており、内訳は光回線63.4%、ケーブルテレビ回線17.3%、DSL回線4.8%なので、約9割の世帯が通信量無制限のブロードバンド回線を自宅で繋いでいることがわかる。残りの約1割が固定無線回線1.7%、電話回線3.4%、携帯電話51.3%(複数回答)なので、通信量に制限がある世帯であることがわかる。もちろん、地域による誤差はあるだろうが、国や行政のオンライン授業への施策は、この1割の人に向けてすればいいことがわかるだろう。

それなのに日本はネット環境の調査のために家庭訪問していたり、デバイスが何台必要かの調査をしていたりしている。実際のところ、なんのためだろうか。不正を過度に恐れ、全体を遅らせていることにはなんとも思わないのだろうか。日本の場合、こういった行為はすべての施策にも共通している。1割に目を取られて残りの9割がたいてい犠牲になっているのだ。