混乱期は、医療者からの正しい情報が救いになる

日本でも複数のがん患者団体がいち早く医療者とともにオンラインセミナーを主催し、医師自らも動画やSNSを使い解説した。正体がつかめない新型コロナに対し、その時点でわかっていることを整理し、エビデンスに基づく情報を伝えるために迅速に動いてくれた。そのことに関しては以前記事でも紹介したが、混乱期の中、これらの情報がどれだけ多くのがん患者が安心させただろう。

-AD-

ロックダウン後、SHARE日本語プログラムのホットラインにも不安を訴える人の声が急増した。また、電話を躊躇する人も存在すると考え、愛子さんたちから「どうしてる? 私たちは待機しているから、いつでも連絡くださいね」と電話をかけたという。「困っているときだからこそ、気にしているよ、なにかあったらいつでも力になるからね。という意思表示が大切なんですよ」と愛子さんは言う。電話の中には、不安に押しつぶされて眠れないという患者さんもいて、と夜中に2時間、話を聞いたという。

「日本語プログラムでは、2週間に一回開催していたミーティング(患者会)をZoomに変え、毎週開催するようにしました。がんの話は全くせず、大笑いして終わることもあります。今みんな、人のつながりと笑うことが大切です」

また、これまでも必要と感じた患者の診察には、愛子さんは家族として同伴し、本人の代わりに医師と話をしてきたが、今は患者本人以外は病院へ入れないので、患者のスマートフォンのスピーカー機能を使い、リモートで診察に参加している。

「この時期だからといって、治療の選択肢を医師任せにするわけにはいきません。SHAREの者です、というと、医師の態度も変わります」(愛子さん) 

診療室に入れない今もスマホを使って遠隔で治療のサポートをしている。photo/Getty Images