「生命はデジタルでできている!」のはご存じか?

情報処理系としての新しい生命像
田口 善弘 プロフィール

そして、ふと気づいた。答えはごく身近なところにあった。自分が研究しているバイオインフォマティクスという科学の中に。

「生命はデジタルでできている」

と言えばいいんだ、と。

ゲノム科学、あるいは、分子生物学に出てくる全てをデジタル情報処理系として説明してみたらどうだろう?

 

デジタル情報処理系なら、一つ一つのプロセスに「意味」を付与してもおかしくはない。コンピュータには「意志」は無いが、それはなんらかの「目的」を持って動作するものだから、それに「意味」を付与することは可能だし、「○○は╳╳する」というような誤解を招くような表現は使わないで済む。

『生命はデジタルでできている 情報から見た新しい生命像』というタイトルのブルーバックスはそんな目的からできあがった。

バイオインフォマティクスの研究で用いられるDNAチップ Photo by Getty Images

新語「DIGIOME」の登場

こんな考え方でゲノム科学を説明した本はあまりないから、ここは悪乗りして新語を作ってみた。

それはDIGIOME(ディジィオーム)という造語だ。ディジィはデジタルのデジであり、後ろのオームは様々なデータの総体を表現する○○オームという表現からパクらせていただいた。

DIGIOMEというのは僕の完全な造語で学術用語ではない。検索しても一本の論文もヒットしないだろう。

でも、このブルーバックスはそれこそRNAとDNAの区別もつかない卒研生が、かわいそうな疑問を抱かないようにするために書かれた本だ。「本当のこと」はあとで学べばいい。大切なのは全体像だ。

残念ながら、この本を今年の卒研生に渡すのは間に合わなかったけれど、僕は来年の卒研生にこの本を手渡せる日を今から楽しみにしている。

田口善弘
生命はデジタルでできている
情報から見た新しい生命像

著者:田口 善弘
講談社ブルーバックス / 定価1000円(税別)
「全生物に読んでほしい!」ヨビノリたくみ氏絶賛。
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