地価が下がる、住民を守れ… 障害者施設に「差別をぶつける街」を歩く

何が問題か、全く理解していない
佐藤 光展 プロフィール

住民たちは当初、「こんな施設が建ったら地価が下がる」とも訴えていた。だがむしろ、精神障害者への露骨な差別意識を表明する幟旗を立て続けることのほうが、この地域のイメージを著しく損なうだろう。そうした悪影響には、なぜ無頓着でいられるのだろうか。

 

「地域を分断したくない」?

地域の住民にも、こうした現状を「地域の恥」と考えて、心を痛めている人はいる。初期の反対運動で矢面に立っていた地元自治会は、いつの間にか身を引き、現在では「反対運動対策委員」なる組織が運動を継続している。

この組織は、代表者もメンバー数も明らかにせず、横浜市障害施策推進課の担当者ですら「メンバーに直接会えず、仲介者を通してやりとりするしかない」という謎の集団となっている。

前自治会長の男性はこう語る。「旗に関していろいろな見方があるのは知っています。ですが、地域を分断したくないのです」。

露骨で不当な差別の解消こそがこの地域を守り、子どもたちの健全育成にもつながるはずだが、それよりも「ゴタゴタを起こしたくない」という事なかれ主義を重んじる土地柄なのだろうか。先進的な気風の大都市・横浜にありながら、遠い昔の息苦しいムラ社会のようだ。