地価が下がる、住民を守れ… 障害者施設に「差別をぶつける街」を歩く

何が問題か、全く理解していない
佐藤 光展 プロフィール

約30本の幟旗は、主に施設正面を取り囲む左右の家々に立っているため、YACHTの玄関を出ると必ず目に入る。入居者の1人は言う。

「仕事や買い物のために外に出ると、旗が視界に入ります。私は気にしないようにしていて、他の入居者とも旗の話はしませんが、この地域の異様な雰囲気、恐怖やストレスは誰もが感じている」

 

「差別ではなく一般論」

施設と住民との調整にあたってきた横浜市障害施策推進課は「子どもたちの安全を守れ」と「地域住民の安全を守れ」の2種類の旗について、「精神障害者への明らかなヘイトであり、YACHTの入居者を傷つけている」と認識している。そのため「旗を立てている家の人たちに撤去をお願いした」というが、「強制力はないため、聞き入れてもらえなかった」と話す。

モアナケアなどは、障害者差別解消法の制定を機にできた横浜市の条例に基づく申し立て(あっせんの申し立て)を行い、「横浜市障害者差別の相談に関する調整委員会」に適切な対応を求めた。この委員会は近く開かれる予定で、ヘイト幟旗の撤去提案が予想されるが、これにも強制力はない。住民側が態度を変えなければ、今後は名誉棄損や業務妨害で訴訟となる可能性が高い。

こうした事態を重く見たKP(2019年12月15日の筆者記事で結成の背景を詳報)は、メンバーが現地訪問を重ねて各戸を回ったり、入居者と同じ精神疾患当事者として、話し合いの場を求めるチラシを各戸に投函したりした。

しかし反応は乏しく、話ができた住民も「(旗の文言は)障害者差別ではなく一般論」などとはぐらかすばかりだった。

YACHTの前でモアナケアの職員の話を聞くKPメンバー