地価が下がる、住民を守れ… 障害者施設に「差別をぶつける街」を歩く

何が問題か、全く理解していない
佐藤 光展 プロフィール

障害者が住むには「説明が必要」なのか

閑静な住宅街に不似合いな、戦国時代の合戦を思わせる幟旗が立ち並んだのは2019年3月のことだ。今も約30本がたなびいている。自治会関係者によると「旗は住民がお金を出し合って作った」と言う。

精神障害者向けグループホームの建設を巡って、住民側と施設側の認識の違いから、対立騒動に発展した。一部の住民が毛嫌いするグループホームは、都筑区で訪問看護事業などを行う株式会社モアナケアが運営する「YACHT」(定員10人)。

横浜市の新規設置承認を得て、2018年10月に建設を始めたが、これが精神障害者の入居施設だと知った住民の一部が、自治会を中心に反対運動を始めた。住民側の要請で開かれた説明会は、怒号が飛び交う大荒れとなった。

 

障害者のグループホームを建設する際に、事業者が近隣住民への説明会を開いたり、地域の同意を得たりする必要はない。健常者が住居を建てる時には、近隣への説明も同意もいらないのに、障害者の住居は勝手に建ててはいけないとなれば、それが著しい障害者差別であることは明らかだ。

そのため、障害者差別解消法の付帯決議でも「国及び地方公共団体において、グループホームやケアホーム等を含む障害者関連施設の認可等に際して周辺住民の同意を求めないことを徹底する」とされている。

だが、この地域の住民は「説明もなしに建設を始めた」と憤り、700筆近い反対署名を横浜市に提出した。