大迷走する「9月入学」議論、幼児教育政策から見た「3つの悪影響」

「小学0年生」案は愚策の危険性も…
畠山 勝太 プロフィール

相対年齢効果

さらに、9月入学は学年内の月齢の幅を拡大させる。これも、幼児教育にマイナスの影響を及ぼすことが考えられる。

なぜなら、同じ学年内の年齢差(月齢差)は、年をとればとるほど小さくなりほとんど誤差のようなものとなるが、幼い間は無視できないものとなる。

このため、この月齢の幅の拡大を許容すると、現状ただでさえ諸外国比で低賃金で多くの子供にケア・教育を提供している保育士や幼稚園教員の負担増となる。

例えば、私は3月生まれであるが、生まれてから422カ月が経過している。同じ学年の4月生まれは433カ月が経過しているが、この差は、433/422=1.026と約2.6%の差しかない。これに対し、年長に相当する年齢だと72/60=1.20と20%もの差になる。

9月入学に1年で移行する案では、一学年の中に17カ月分の子供を迎え入れる学年が出てくる。確かに、大人の感覚的には5カ月の差ぐらいとなるのだろうが、年長相当の子供にとっては全くそうではないことは、上の計算から理解してもらえるだろう。

 

実際に、反実仮想である現行の1学年の中で12カ月の差があるだけでも数々の問題が発生している。

計算上からも、3月生まれと4月生まれの差は年齢と共に縮小するはずであるが、日本のデータが用いられた研究でも、学歴や賃金に差が残っており自殺率が高く、プロ野球やサッカー選手が少なかったりする、という現象を生み出している。

諸外国のこの分野の研究を参照しても、幼児教育段階で1学年の中で扱う子供の月齢の幅が増加すると、この差が特に貧困層の男子を中心に悪化することが予想される。