大迷走する「9月入学」議論、幼児教育政策から見た「3つの悪影響」

「小学0年生」案は愚策の危険性も…
畠山 勝太 プロフィール

幼児教育政策と9月入学の問題

9月入学の議論が錯綜しすぎて、海の向こうからは何を議論しているのか全体像がはっきりとは見えない。

しかし、報道(FNNプライムオンライン日本経済新聞電子版)を見ると、いくつも出ている9月入学案の中で、幼児教育政策の観点からは以下の点が字数的にカバーし得る主要なイシューとなると考えられる。

(1)小学0年生問題、(2)学年内月齢の幅問題、(3)幼稚園への入園の半年遅れ問題、である。

〔PHOTO〕iStock

幼児教育の学校教育化

まず、小学0年生問題についてである。これは反実仮想を踏まえるまでもなく問題のある選択肢であることが分かる。

北村が記事で指摘しているように、幼児教育と学校教育は根本的に別物であり、幼児教育においては発達段階に応じた教育・ケアを提供することが重要になり、「遊び」を通じた学びはその象徴的な事例の一つである。OECDやUNESCOも指摘しているように、幼児教育の学校教育化は、是が非でも避けなければならない。

もし、小学0年生プランが、年中の子供たちの一部を、年長を飛ばして小学0年生とする方向で行くのであれば、反実仮想では幼稚園・保育園で発達段階に応じた教育・ケアを受けられていた子供たちが、学校教育に放り出されるわけである。これは到底許容できるものではない。

 

日本の幼児教育は、子供の人数が多過ぎる・低賃金過ぎるという二重の課題を抱えているが(拙稿「幼児教育無償化で十分か? ―― 就学前教育の重要性と日本の課題」)、それでも諸外国比でこの遊びを通じた学びが提供できており、低コストで幼児教育の学校化を抑えられている世界に誇れるものである。

確かに日本はここ10数年で持っていた強みを手放すような教育政策をいくつか打ち出してしまっているが、小学0年生プランの運用の仕方によっては、その中でも愚策の極みとなると考えられる。