累計3000万台「ラズパイ」であなたのコンピュータ観が変わる!

その「2つの側面」を丁寧に解説します
金丸 隆志 プロフィール

このようなソフトウェアは、OSにプリインストールされているか、インターネットから有料または無料でダウンロードすることが多いでしょう。現在ではビジネスやエンターテインメントなど様々な分野のソフトウェアが充実しているため、どのソフトウェアをインストールすればよいか迷ってしまうほどです。

ソフトウェアをプログラミングする

しかし、PCが現在ほど普及する前はそうではありませんでした。

コンピュータ上でソフトウェアを使うことと、プログラムを自分で書くこと(プログラミングすること)とが密接に結びついている時代があったのです。

1980年7月撮影 Photo by Getty Images

1980年代はコンピュータでゲームをすることが流行していました。もちろん市販のゲームもあるのですが、子供にとっては頻繁に購入できるものではないので、ゲームのプログラムを自分で打ち込んで遊ぶ、ということが行われていました。当時はゲームのプログラムを掲載した雑誌があり、それをそのまま打ち込むことでゲームを遊ぶことができたのです。

1990年代は、インターネット上に写真を投稿するための「画像掲示板」が広く使われていました。画像掲示板が普及したときには無料の掲示板用ソフトウェアを利用できましたが、それ以前は画像掲示板用のプログラムを自分で書く必要がありました。

プログラミングというと、難しそうだという印象を持つ方が多いかもしれません。しかしその当時の考え方では、プログラミングはコンピュータを「おもちゃ」のように自由自在に動かすための「楽しいもの」と見なされていたように筆者は思います。

現在ではどうでしょうか。コンピュータ上で動作する便利なソフトウェアが市場にあふれており、一般ユーザーがプログラミングする必要性はどんどん減っています。その結果、コンピュータは使って楽しい「おもちゃ」というよりも、むしろ何かの目的を達成するための「道具」に近くなったと言えるのではないでしょうか。

すなわち、コンピュータが「道具」として洗練されるに従って、コンピュータの「おもちゃ」としての側面が失われているということになります。

コンピュータサイエンスを学ぶためのRaspberry Pi

Raspberry Piの生みの親、コンピュータサイエンスのエンジニアのエベン・アプトンがケンブリッジ大学に所属していた2005年ごろも、学生のプログラミング経験が昔に比べて減っていたと述べています。

エベン・アプトンエベン・アプトン Photo by Getty Images

その理由はすでに述べたように、コンピュータが道具として洗練され、その上で動くソフトウェアが充実したために、プログラミングなしで便利にコンピュータを使えるようになったからです。

忘れられがちなことですが、その洗練化の背後には、コンピュータやその上で動作するソフトウェアを作成し、その質を高めているエンジニアがいます。そして、その質を今後も高めていくためには、ハードウェアやソフトウェアの新たなエンジニアの育成が必要不可欠です。

しかし、コンピュータが便利に洗練化されるに伴いプログラミング経験者が減っていき、後進のエンジニアを生み出しにくくなっているとしたらそれは皮肉なことです。

この問題を解決するにはどうすれば良いでしょうか。