Raspberry Pi(ラズベリーパイ)は2012年に英国で誕生した、名刺サイズの超小型コンピュータです。
一見皆さんが普段使っているコンピュータと異なるように見えますが、キーボードやマウス、ディスプレイを接続すると通常のコンピュータと同じように使うことができます。
Raspberry Piには定期的に新バージョンが登場しており、そのたびにファンは増え続けています。現在ですと、2015年11月に5ドルという価格で登場したRaspberry Pi Zeroシリーズや、2019年に販売された高性能なRaspberry Pi 4が高い人気を得ています。
2019年12月までには世界で累計3000万台のRaspberry Piが出荷されたと言われています。
このRaspberry Piはなぜ生まれたのか、そしてそれにより何ができるのかを本稿で紹介します。
Raspberry Piが登場した背景を知るには、昔と現在とでのコンピュータの使われ方の違いを知る必要があります。
コンピュータが一般家庭に普及したきっかけとしては、1995年にMicrosoft社がコンピュータ向けのOS(オペレーティングシステム)であるWindows 95を発売したことや、2000年代初期にインターネットへの常時接続の普及が始まったことが挙げられます。
さらには2000年代後期のスマートフォンやタブレットの登場をこの流れに加えることもできるでしょう。なお、以下ではスマートフォンやタブレットと異なる一般的なコンピュータをPCと呼ぶことにします。
さて、PCであれスマートフォンやタブレットであれ、皆さんは多くの場合ソフトウェア(またはアプリケーションソフトウェア)を用いるでしょう。
たとえばスマートフォンで写真を撮る場合、カメラから映像を取得して画像データとして保存するソフトウェアを用います。また、SNSで友人と連絡を取る場合、作成した文章や画像を送信するために、インターネットの向こうにあるSNSのサーバーと通信する機能をもつソフトウェアを用います。サーバー側が受け取った文章や画像を保存するのも、サーバー上で動作するソフトウェアです。