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「アナロジー思考」がますます重要になる理由

『問題発見力を鍛える』vol.15
製品やサービスの「偏り」を発見し、解消することを考えるのが新たなビジネスのタネとなります。では「アイデアの偏り」に着目するとどうなるでしょう? 細谷功氏の連載『問題発見力を鍛える』第15回のテーマは「アナロジー思考」についてです。
 

「あるところ」から「ないところ」に移動する

問題とは「偏在」(偏り)であり、その偏在を見つけ、解消することが問題解決の一つの側面であることを前回お話しました。例として稼働率や利用率の偏りを見つけてそれを平準化するための解決手段としてのシェアリングエコノミーにおける部屋や座席の平準化を挙げました。

さらに偏在のもっとも簡単な例は片方(A)にあるがもう片方(B)にない状態を解消するためにものをAからBに移動するというもので、古来からある物々交換というのがまさにこのパターンです。肉を豊富にもっている人と野菜を豊富にもっている人同士が肉と野菜を交換することでお互いの不足を解消するというビジネスの原点と言えるでしょう。

これをさらに国や地域の単位に広げたのが貿易です。貿易もあるところとないところの差をなくすという基本的な問題解決と言えます。この場合は単に「ある場所からない場所へ」の移動に加えて「値段が高いところから値段が安いところへ」という、価格差の解消という側面もあります。

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このような「差の解消」を極めたのが金融の世界で、例えば為替取引がわかりやすいですが、価格差があれば必ずそこで利益を上げようとするインセンティブが働き、それが「平準化」される方向に動きます。金融の世界ではこれは「アービトラージ」(日本語では「裁定」)と呼ばれています。そもそもビジネスのほとんどはこの「アービトラージ」の考え方の応用であり、多くの問題解決はこの構図であることは少し考えればわかると思います。

価格差の解消、稼働率の差の解消、存在の有無や密度差の解消、ニーズやシーズの偏在の解消といった具合です。つまり問題発見とはこれらの差を見つけることであり、その差が見つかればそれを合理的に解消する仕組みをつくることで、シーズの充実(「ある側」のリソース)によってユーザニーズ(「ない側」の渇望感)を満たすのが問題解決です。

わかりやすい例が海外で成功した先進的な事例をまだそれが導入されていない日本に導入するという、(ソフトバンクの孫正義さんが唱えていたといわれる)「タイムマシン経営」というものです。「タイムマシン」というのは進んでいるところと遅れているところの「時間差」を利用することから来た表現と言えるでしょう。