Zoom恐怖症…どころじゃなかった
部長に合わせて週2回の会議で出社に

次にご紹介するのは某メーカーの広報業務をしている希美さん(仮名・36歳)。希美さんは、緊急事態宣言前から在宅業務に入っていた。「感染疑いの人が3月半ばに出たこともあり、3月末には社内的には、在宅勤務が始まっていました。ただ、私たちの部署だけ、週に2回、会議だけのために出勤を続けているんです」と話す。一体どういうことなのか、話していただこう。

*****
在宅勤務が始まる前に、どうやって業務を進めていったらスムーズなのか、話し合いをしました。私たちは、ちょうど新商品についてプロジェクトを組んでいたこともあり、週に2回は長めの会議をZoomを使ってリモートで行うことなりました。でも、その決定に、部長が難色を示したのです。

「会議というものは、みんなの顔を見ながら話し合ったほうがいいアイディアが浮かぶ」と……。でも、社内では原則出社は自粛してほしいとなっていますから、と話しても、ガンとして譲りません。どうも、詳しく探ってみると、部長はZoomの使い方がわからなかったのです。

「リモート会議の設定は意外と簡単ですから大丈夫ですよ」と、目の前で会議の設定をし、URLを上司のメールに送り、その場で試しに開いてもらいました。念のためさらに使い方を図解したメモを部長に渡しました。これなら大丈夫と、第1回目のリモート会議の日がやってきました。

ところが、会議の時間になっても部長は一向に入ってきません。慌てて電話をすると、「何回やっても全然入れない。これじゃぁ、仕事にならないじゃないか! 使えない!」とすでにおかんむり。「入れないのは、部長だけですよ」と言いたいところをグッと堪えて、ログインできるようにアシストしようとするものの、部長がパニック状態で、結局その日の会議はキャンセルとなったのです。

その日の出来事から、週に2回出社して会議をすることに……。そして、会議の席で部長の、「やっぱりスマホからだとZoomってわけわかんねーな」の発言により、実は部長は自宅にPCすらないことが発覚! 会社で開いた時には会社のPCでしたが、スマホでZoomアプリをダウンロードしていなかったのです。さらに、思えば第1回の会議のときに部長同様きていなかった定年間近の次長も、自宅にPCがなく、スマホもよくわからないとスルーしていたこともわかりました。「やっぱり顔を合わせたほうが、いいアイディアが浮かぶな」と部長と次長は喜んでいますが、ほかの部員はため息しかありません。

子供たちのICT教育の普及も問題になっているけれど、それに合わせて、大人世代のICT教育も必須事項にしてほしいと思いました。

緊急宣言中に通勤している人の中には、スキルのない上司のせいで行くしかない、という人もいたのかもしれない(写真の人物は本文と関係ありません) photo/Getty Images