WHO総会でも激突…トランプの「習近平潰し」のウラで起きていること

米中両国は開戦前夜の様相ではあるが
歳川 隆雄 プロフィール

当面の“米中共生”

一方の習近平氏には時間的余裕がある。中国経済回復に黄色信号が点滅する中で22日から全国人民代表大会(全人代)が開催されたが、トランプ氏にとって死活的な大統領選のようなビッグイベントではないので、11月まではトランプ氏との関係を維持し、米中関係を後戻りできない地平まで追い込むことを回避するに違いない。

photo by gettyimages

TSMCの総売上高の20%は中国が占めており、その過半はファーウェイに依拠している。一方、米国の売上高は約60%である。平たく言えば、TSMCは米国産ソフトウエアを使ってファーウェイ仕様にチップを生産する場合、米国の許可がいるのだ。ファーウェイの息の根を止めないということは、台湾の半導体受託企業TSMCを介した、当面の“米中共生”のための必須要件なのだ。

それでいて、WHO総会への台湾オブザーバー参加を主張したトランプ政権は忘れずに台湾からリターンを得ている。ファーウェイのサプライチェーンの重要な役割を果たしているTSMCは米商務省産業安全保障局が規制強化策を発表したその日に、120億ドル(約1兆3000億円)を投じてアリゾナ州に半導体工場を新設すると表明した。

 

本当に「もしも」であるが、トランプ氏の一連の、且つ一貫性のないツイートでの対中批判が実は計算ずくだったとしたら、末恐ろしいことである。そんなこと考えたくもない。