米軍基地から街に「有害物質」が降り注いでも、手も足も出ない日本

相次ぐ事故で際立つ政府の軟弱ぶり
半田 滋 プロフィール

日米地位協定の壁

立ち入り調査を拒む壁となっているのは、日米地位協定である。

日米地位協定の第3条1項は「合衆国は、施設及び区域内において、それらの設定、運営、警護及び管理のため必要なすべての措置を執ることができる」とあり、この条文が基地の管理権は米側にあるとの解釈の根拠になっている。

外務省はホームページに掲載した「日米地位協定Q&A」で「在日米軍の基地はアメリカの領土で治外法権なのですか」との問いに「米軍の施設・区域は、日本の領域であり、日本政府が米国に対しその使用を許しているものですので、アメリカの領域ではありません。したがって、米軍の施設・区域内でも日本の法令は適用されています」と回答している。

この回答が実際の運用と異なるのは見てきた通りである。回答通りに米軍基地内で日本の法令が適用されているのなら、PFOSを流出させた米軍に対し、ただちに基地への立ち入り調査ができなくてはおかしい。

 

結局、米軍のやり方に日本側が唯々諾々と従うしかない日米地位協定がある限り、米軍基地の事故などで周辺に悪影響が及んでも、日本政府は対応できない。

航空機を配備した米軍基地と地元との間に騒音防止協定がありながら、繰り返される早朝、深夜の飛行に日本政府が手も足も出せないのと同じことである。日米地位協定の見直しから目を背け続けるわけにはいかない。