仮想通貨「元・億り人」を次々に襲う「人生棒に振るほどの重税」

シングルマザーの悲惨な告白
週刊現代 プロフィール

これだけなら運が悪かった、で済む話だ。しかし、福岡氏の元に災難が降りかかる。インターネット上でノウハウなどの情報商材を販売する、名古屋市の「LSIホールディングス」というコンサルティング会社が、「節税をお手伝いします」と甘言を弄して近づいてきた。福岡氏が説明する。

「彼らの説明する手法が違法と気づかずに処理を依頼し、約1900万円の手数料を支払ってしまったんです。支払いにはビットコインを使いました。彼らへの支払いで事足りると思っていたので、'17年分の確定申告は行っていません。

ところが'18年10月に名古屋国税局がLSI社の査察に入り、私も反面調査(調査対象の取引先等に対して実施される税務調査の手法の一つ)を受けたことで、詐欺だと気がつきました」

絶対に逃げられない

福岡氏は税金と詐欺のダブルパンチを受けてしまったわけだ。

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「翌年2月の確定申告ではとりあえず'18年分だけを自力で申告しました。その後は税理士に依頼し、無申告の'17年分も併せて、国税局と納税方法について交渉しています」

福岡氏の納税額は加算税を含めて1億円を超える可能性がある。含み益を実現させないうちに価格が暴落したうえ、余裕資金も手元になく、完納は不可能だという。

福岡氏は「他の暗号資産に乗り換えた時点で課税所得が発生するという国税当局の課税ルールは、暗号資産投資の実態を無視している」と憤る。

 

国税関係者によると、「億り人」になった'17年分の所得を適正に申告した投資家は、全体の1割程度に過ぎないとされている。'18年初頭から暗号資産価格が暴落し、高額の税金に充てる資金を捻出する術がないからだ。

だが、国税当局は無申告者である「戻り人」の実態把握を加速させているという。'18年以降、LSI社のような情報商材業者や、パソコンが苦手な高齢投資家の手続き代行をうたい文句にした業者などを税務調査したうえ、彼らが作成した顧客名簿を次々と入手しているのだ。

「国税当局は、暗号資産の投資家が最も儲かった'17年末時点の投資状況を把握して、'17年分を含めた過去3年分の課税につなげる意向なのでしょう。今年はその意味でも、暗号資産投資家に対する調査件数が急増する可能性があります」(前出・菊地氏)

税金は借金(負債)と異なり、破産しても原則的に免除されない。「戻り人」にとって、今年はいよいよ年貢の納め時になりそうだ。

『週刊現代』2020年5月2・9日号より