仮想通貨「元・億り人」を次々に襲う「人生棒に振るほどの重税」

シングルマザーの悲惨な告白
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FAQ(よくある質問)形式で示された、暗号資産に対する課税ルールだった。暗号資産会計に詳しいホワイトテック会計事務所(東京都豊島区)代表の菊地貴加志氏が解説する。

「国税庁が示したルールは、『保有する暗号資産を他の暗号資産を購入する際の決済に使った場合は、その時点での他の暗号資産の時価と、保有する暗号資産の取得価額との差額を所得とみなす』というものでした。

 

つまり、含み益を持つ暗号資産を他の暗号資産と等価で交換した場合、その含み益に課税するということです。暗号資産の世界では、乗り換えはごく当たり前の行動で、その意味でもこの文書は極めて重要でしたが、そのことに気づけなかった投資家は少なくないでしょう」

樋口さんもご多分に漏れず、この文書の存在すら気づくことはなく、保有するエイダを他の暗号資産に乗り換えていた。

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前述の通り、含み益は投資家が実際に手にする利益ではない。これが課税対象とされてしまうと、投資家はすでに保有している別の資産を取り崩すか、手持ちの暗号資産を換金して含み益を実現し、納税資金を捻出する必要が出てくるのだ。

「ところが納税に回せる資金的余裕がなかったり、納税前に暗号資産価格が暴落してしまうと、仮に暗号資産をすべて換金しても納税額にはとうてい届かないケースが多い。

'18年1月初旬から多くの暗号資産が暴落してしまい、元『億り人』で税金を払いたくても払えない人は相当数いると思います」(前出・菊地氏)

暴落は悲劇的なものだった。ビットコインを例に取ると、'17年12月8日に1枚235万円の史上最高値をつけたあと、わずか2ヵ月後の'18年2月の安値は65万円と、最高値から一気に72%も下落。値下がりはその後も続き、'19年1月末の終値は37万円、最高値から85%もの下落率を記録している。