仮想通貨「元・億り人」を次々に襲う「人生棒に振るほどの重税」

シングルマザーの悲惨な告白
週刊現代 プロフィール

前出の樋口さんはその一人だ。20代で結婚・離婚を経験し、個人事業主として実家の仕事を手伝いながら、一人息子を育ててきた。その息子もこの4月から名古屋市内の大学に進学し、樋口さん自身も一人暮らしを始めたばかりだ。

樋口さんが初めて暗号資産に投資したのは'15年前半のこと。知人に影響されて、マイナーな暗号資産に13万円を投じたが、利益は出なかった。

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初めてまとまった金額を暗号資産に投資したのは、'15年10月、世界に先駆けて日本でプレセール(予約販売)された「カルダノ・エイダコイン(以下、エイダ)」だった。樋口さんが振り返る。

「知人から紹介された暗号資産業者から『(イーサリアムの設立者で暗号資産の世界では神のような存在の)チャールズ・ホスキンソンが新たに開発した、将来有望な暗号資産』と勧められ、プレセールで60万円分購入しました。

世間的には大した金額ではありませんが、自営業のシングルマザーにはそれが精一杯。預金の3分の1を取り崩し、生命保険も解約して捻出しました」

国税が公表した文書

'17年10月に海外の取引所に上場されたエイダの価格は、他の暗号資産と同様、同年12月に急騰した。ピーク時の樋口さんの利益は約2億8000万円となり、投資額の実に約470倍に膨らんだ。

ただし、この利益はあくまでも数字上の含み益で、いわば絵に描いた餅。円やドルなど、法定通貨に換金しない限り、投資家の手元には入らない。「含み益の金額が大きいと、換金しても半分は税金に取られる」と認識していた樋口さんは、結局エイダを換金せずにそのまま持ち続けた。

この最中の同年12月1日、国税庁は「仮想通貨投資に関する所得の計算方法等について」と題する文書を、ホームページ上で密かに公表している。