「バイトも嫌がって…」コロナ消毒作業を担う「特殊清掃業者」の本音

消毒と予防の最前線で行われていること
小泉 カツミ プロフィール

すべて消毒しなければならない

エレベーターはない建物だった。及川さんにとって、新型コロナの感染者発生による清掃・消毒はこの依頼で6回目のことだった。1階の部屋であっても、2、3階まで上がらないと言う保証はない。いわゆる共有部分をすべて消毒しなければならない。

及川さんたちは、防護服にゴーグルに防護マスク、長靴という出で立ちで作業を開始した。

まず、噴霧器で消毒液を散布していく。すべての階段にまいていき、それが終わると消毒液を染み込ませた布で手すり、階段、床を丁寧に拭きあげる。さらに、感染者が触った可能性のある集合ポストも消毒する。

すべての共有空間にも消毒液を散布

使用する消毒液はアメリカ製の「ハイプロックス アクセル」という濃縮タイプの除菌洗浄剤。これは今年2月に新型コロナウィルスの集団感染が発生したあの「ダイヤモンドプリンセス号」の殺菌・消毒で使用されたものと同じ種類だった。濃縮タイプなので、水で希釈して使用する。

最後に自分たちの長靴の靴底も消毒液に浸けた布で洗浄する。着ていた防護服を脱いで消毒のスプレーを全身に振りかけて作業は終了となる。防護服は1回で処分されると言う。

作業が完了した際に、靴底を消毒する液を容器に浸しておく
 

約2時間の作業だった。及川さんが言う。

「今回は、アシスタントがついてくれましたが、『新型コロナ』と聞くとアルバイトも嫌がるんです。『家族が反対するので』と言われることもあります。こちらも無理にとは言えないんで、やってくれる人にしか頼みません。僕ですか? 怖くないとは言えませんが、充分に注意して慎重にやっていますから」

これで費用はいくらかかるのだろうか。

「相場としては1平米約800円。今日のケースだったら約6万円ですね。最近では、新規参入の業者が1平米3000円なんて法外な請求をするケースもあるようですね」