知人を通じて、休業している店の店主の男性に話を聞くことができた。
「協力金の50万円は、デカい。でも従業員を雇ってるところは厳しいかもしれないね。一人でやってるうちの店でも、店と自宅の家賃に生活費も合わせると、1か月半しか持たない」
やはり、家賃の負担に頭を抱えていた。
「家賃の支払い、待ってもらえないのかな……。でも、待ってもらったところで、払わなきゃいけないことには変わらない。うちは専業だし今月の売上はほぼゼロだから、本当は2割くらい減額してほしいよ」
協力金の恩恵を感じている人でも、先行きの不安は拭えない。ちなみに後日確認すると、家賃の支払い延期や減額は実現しなかったそうだ。
一方で、時間短縮せず朝まで営業しているバーがあった。決して闇営業ではなく、SNSでも堂々と告知している。
バーテンダーの女性に自粛のことを聞くと、「全然気にしてない」とあっけらかんと笑った。
「やってるお店がないとみんな気が滅入っちゃうよ。売上も変わってない。変な人しか来ないから(笑)批判ばっかり聞くけどさ、政府も大変だよって思う」
8席しかないカウンターはあっという間に満席になり、完全に“密”だった。どんちゃん騒ぎで盛り上がり、ここにいると自粛ムードが嘘のよう。良くも悪くも、なんだか夢みたいだ……。
そう思いにふけているのも束の間、店先に警察が現れた。