性暴力の被害者が、驚くほど「自分を責めてしまう」理由

自傷行為に走ってしまう人もいる…
小川 たまか プロフィール

法廷で被害者を貶める加害者たち

こうした被害者と加害者の非対称な関係のなかでも、ことに目立つのが、「被害者が自責し、加害者が他責する」という構図だ。私が日本で性暴力の取材をしていても、被害者が自分の被害について「私に非があったのではないか」と自問し、加害者は「自分が犯罪行為に及んだのは被害者のせいだ」と他責する…という構図を、たびたび目にする。

たとえば、3月12日に判決が出た、「リアルナンパアカデミー(通称RNA)」事件。主犯である「塾長」の男は、3件の準強制性交等事件で懲役13年の実刑となった。共犯者の「塾生」たちと共に、ナンパした女性たちに大量に飲酒させ、酩酊させてレイプに及んだ事件だ。

裁判で塾長の男は、共犯者や被害者の「非」を挙げ、さらに自分がいかに女性たちから受け入れられていたかを雄弁に語った。被告人の自己弁護は権利とはいえ、その主張をそのまま引用すれば被害者へのセカンドレイプになりかねない。

一方で、この事件の被害者たちが公判で証言台に立った際はどうだったか。もちろん男たちの行為を非難したが、悲痛な声で「私も悪かった」「隙があった」と語る場面があった。一緒に傍聴していた編集者のM氏は、その様子が「一番印象的だった」と漏らした。

〔PHOTO〕iStock
 

また、この事件と同日に判決が出た名古屋高裁での実父から娘への準強制性交等事件。逆転有罪は大きく報道された。この事件は「抗拒不能」(身体的、精神的に抵抗するのが難しい状態)が争点となったため、これ以外に被告人が一審でどのような主張をしていたかはあまり報じられていない。

一審で被告人は、「被害者は被告人と性交を行うことを条件に、専門学校への入学にかかる費用の援助を求めた(つまり、被害者から性交を望んだ)」「被害者が中学生の頃に陰部に触るなどしたことがあるが、これは夜尿の指導のためで、性的なものではない」などと主張していた。こういった主張は一審判決でも、「信頼できる被害者の証言と矛盾する」「およそ考えがたい」と否定された。