2020.05.27
# 社会

自粛警察、家庭内暴力、教育格差…新型コロナが暴いた日本社会の課題

現実となった『首都感染』⑤
高嶋 哲夫 プロフィール

バンコク。3月末から外出自粛要請が発令された。違反者には罰金もしくは禁固刑が科せられる。学校や公園、商業施設も休業、公共交通機関ではマスクの着用が義務化された。違反して見回りの警察官に暴行を受けている映像も見た。

アルコール類の販売が禁止になったのはお国柄か。刑務所内で新型コロナ感染が広がっているとの噂で、多数の受刑者が脱獄したり、ひったくりや強盗などが増え、治安は悪化した。

武漢市。1月23日から都市封鎖に踏み切った。公共交通機関の運行を停止し、周囲の道路も閉鎖。居住区ごとに監視役を配し、市民の外出を禁じるなどの強硬措置を行った。その結果、4月8日、2ヵ月半ぶりに武漢市の「都市封鎖」を解除した。

 

広がる教育格差

学校休校で大きな話題になったのは、教育格差の問題だ。

全国の小中高大学は、2月の終わりから5月にわたって休校となっている。

私立学校は早い時期にオンライン授業に切り替えている。「ZOOM」や「Skype」を使えば、双方向の授業ができる。

オンライン授業に切り替えた学校もある(photo by iStock)

僕の知っている学習塾では1週間ほどでオンライン授業の体制を整えた。朝8時の朝礼から始まり、授業を行い、テストまで行っている。父兄の評判もいいようだ。

こうした中、公立学校はプリントによる自宅学習をやるのが精いっぱいだった。

政府は今年から4年計画で小中高校生に一人一台のパソコン導入を計画していた。そのための予算も確保し、パソコンのスペックも決めていた。しかし、新型コロナウイルスの影響のほうが早かった。

オンライン授業を公立学校がやることは、やはり無理がある。一人一台のパソコンはもとより、各家庭のWi-Fi環境も整っていなければならない。

さらに、環境だけではどうにもならない。それをどう扱うかは、現場の教師の問題だ。日本の公立学校にその柔軟性はあるのだろうか。

同時に9月入学の話も話題に上っている。手続き上の煩雑さなど問題は多いが、数年かければ解決はできる。日本では大きな改革はこういう時にしかできない。思い切って、やるべきだと思う。

アメリカ、中国、韓国など感染拡大した各国では、早急にオンライン授業に切り替えた。学校が休校になっても、授業は継続している。日本は、なぜ、できなかったのか。検証していく必要がある。

コロナに対する日本人の意識

現在、世界は一様に、新型コロナウイルスの恐怖におののいている。こうした状況では、各国の国民性、意識の違いが顕著に表れる。

ギャラップ・インターナショナル・アソシエーションは、世界18ヵ国を対象として、いくつかの調査を行っている。

1.「自国の政府はコロナウイルスにうまく対処していると思う」
「そう思う」人の割合は、平均では69%、日本は19%で18ヵ国中17位

2.「ウイルスの拡散防止に役立つならば、自分の人権をある程度犠牲にしてもかまわない」
「そう思う」人の割合は平均では81%、日本は40%で、18ヵ国中18位

3.「コロナウイルスのパンデミックが終わった後、世界はどうなると思うか」
「大きく変化し、まったく新しい世界のようになる」と回答した人の割合は、平均では46%だが、日本は23%で18ヵ国中18位

この3つの問いに、日本人はすべて否定的に答えている。

僕は感染者数、死者数ともに、日本は欧米に比べ、数字的には成功していると思う。あまりに世界の状況を知らなすぎるのではないか。

2は意外だった。僕は日本人は他国に比べて、自己犠牲の精神が強いと思っていたのだ。ある大学教授は、日本の戦前、戦中の状況が影響していると言っている。

日本人は人権意識が特別強いのか、ただの自分勝手な国なのか。それだけ、自由な国であることに間違いはない。

5月1日での世界の感染者約322万人、死者約23万人。日本の感染者1万4383人、死者458人。

こういう状況の中で、日本はゴールデンウィークを「自粛生活」で乗り超え、「緊急事態宣言」の解除へと進んでいった。

第6回へ続く

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