自粛警察、家庭内暴力、教育格差…新型コロナが暴いた日本社会の課題

現実となった『首都感染』⑤
高嶋 哲夫 プロフィール

オンラインの「大会」も

マスク、手袋をしてのランニング、ソーシャルディスタンスを取りながらの散歩風景もよく報道された。

SNSでは、家でできる体操、歌、さらに芸能人が連携を取った歌やダンスを多く見かけた。

世界では俳優や歌手の連携が行われ、それがSNSで世界に配信されていた。また、バルコニーでの歌も印象的だった。こういう運動は、世界に一体感を与える。

けん玉が見直され、オンラインで大会が行われたというのは、個人的には嬉しい。

 

僕も何度か、「ZOOM」や「Skype」を使った会議や勉強会に出た。最大は50人以上の参加があったと聞いている。オンライン飲み会というのもあるらしいが、僕はまだ出たことはない。

カリフォルニアの娘たちからも頻繁に電話があった。外出禁止の生活だが、ストレスはないと言う。

各国の住宅事情、生活習慣によって大きく変わってくるのだろう。都会の日本の平均的住宅を考えると、何日も家族が顔を突き合わせていると、確かにストレスが溜まるのかもしれない。

距離を取ることが求められている(photo by gettyimages)

「自粛警察」たちの監視行動

日本の場合、店の休業、時間短縮営業は罰則を伴わない要請である。

それにもかかわらず、ほとんどの店は従っている。しかし、店にとっては死活問題だ。

店側は都道府県知事の出す条件を守りながら、なんとか店を開け、売り上げを得る工夫をしている。

店以上に神経質になっているのは、一般住民のほうだとも取れる場合もある。

全体の空気が「自粛は美徳」の方向に向かっていた。そのために、過度な干渉や監視が行われるようになった。「自粛警察」と呼ばれる行為もその一つだ。

東京都の場合、「ライブハウス」は休業要請対象だ。しかし、複数の演奏者を同時に出演させない、などを条件に「無観客のオンライン配信用ライブ」は問題ないとしている。

だが、「安全のために、緊急事態宣言が終わるまでライブハウスを自粛してください。次発見すれば、警察を呼びます。近所の人」。店のシャッターに紙が貼られた。

「都の要請を遵守し、感染拡大防止に注意しながら営業を継続する」との店の張り紙に、バツ印や「バカ」などの書き込みがあった。さらに、そんな写真がSNSに投稿されたりした。

県外の仕事先に行った車のナンバープレートが、遊びに来た車としてSNSに載せられた人もいる。

「子供を外で遊ばせるな」「子供の声がうるさい」「自粛中に外で遊ぶな」などの声が上げられ、郵便受けに「近所の者だが」と注意を促す紙が入ったりした。中には、パトカーを呼ばれたケースもある。

さらに問題になったのは、家庭内暴力である。夫が妻や子供に暴力を振るうケースが増えた。自粛生活による疲れや、家庭内の閉鎖性、日本の住宅事情から考えると、十分考えられることだ。

一般に、自粛を破って観光地に出ていると言われたのは若者だった。神奈川や千葉の海岸にサーフィンに来る若者や渋滞する車の様子も象徴的に報道された。

しかし、施設への買い物、外食、旅行、ランニングで外出しているのは多くの場合60代で、20代の若者のほうが自粛しているという調査もある。

日本より厳しい世界のロックダウン

日本でのゴールデンウイーク中の自粛は成功したと思う。強制、罰則を伴わない要請にこれだけ従ったのは、日本人の理性の賜物だと思う。

各国はすでに2~3ヵ月前から「非常事態宣言」を出し、都市封鎖、ロックダウンを行った。多くの国では違反者に対しては罰則が与えられる。

ニューヨーク。3月7日に非常事態宣言を出し、外出制限、学校の休校、生活必需品を扱う店以外の店舗の閉鎖を命じた。違反すれば罰則を伴う。

22日からは、原則100%の在宅勤務を義務づける州知事令を出した。企業が従わず、従業員に深刻な身体的危害を招く場合、最大1万ドルの罰金が課せられる。ニューヨークの町からは人が消えた。

ニューヨークの町からは人が消えた(photo by iStock)

EU諸国。ほとんどの国で3月中に外出禁止が行われている。多くが罰則付きで、罰金が科され、フランスでは違反を重ねれば、禁固刑も科せられる。

日常生活に必要な食料や日用品の買い出し、散歩やジョギング、サイクリングなどは認められた。外出理由を書いた許可証を携帯しなければならない国もあった。

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