感染防止のため公園の遊具も使用中止に(photo by iStock)

自粛警察、家庭内暴力、教育格差…新型コロナが暴いた日本社会の課題

現実となった『首都感染』⑤
「緊急事態宣言」下のゴールデンウィークに、日本人は自粛生活を余儀なくされた。長引く自粛で、様々な日本社会の問題点が浮かび上がった――10年前に書かれた「予言の書」として読まれ続ける『首都感染』の著者・高嶋哲夫氏が、「新型コロナと日本人」について書きおろすドキュメント連載第5回!

「最低7割、極力8割」の自粛

4月7日に東京都、大阪府など7都道府県に対して、「緊急事態宣言」を発令した。

17日、ゴールデンウィークの2週間前、今度は全国に向けて「緊急事態宣言」を出し
ている。日本の感染者約1万人、死者約200人。東京は1日に200人余り、大阪は50人余りの感染者を出していた。なんとしても、人口密集地の感染を全国に広げるのを阻止する必要があった。

 

この時期、安倍総理は「最低7割、極力8割」を言い続けていた。その根拠は、「感染拡大を一定程度まで抑制できる期間は、接触8割減なら15日程度、7割減なら34日程度。潜伏期間などを考慮すると、感染者の減少を確認できるまでに8割減なら1カ月程度、7割減なら2ヵ月弱を要する」という専門家の言葉だ。

すでに、厚生労働省のクラスター対策班は、「人と人との接触を減らすなどの対策を全く取らない場合、国内では重篤患者が85万人に上り、半数が亡くなる恐れがある」との試算を公表していた。半数と言えば40万人以上だ。この数字は国民に衝撃を与えた。

政府は通勤、帰宅時の混雑を防ぐため、企業に時差出勤、在宅勤務を推奨している。

岩手県は感染者ゼロ、その他の多くの県も一桁、二桁止まりだった。

もし、この連休で例年並み、いやその10分の1でも帰省・行楽のために人の動きが全国に広がれば、ウイルスも全国に拡散する。政府もある意味、必死だったのだろう。

異例の形でゴールデンウイークに入った。

例年なら、東京、大阪などから一斉に全国に帰省、観光に人の移動が始まるが、今年は日本の主要駅、観光地から人が消えた。

日本中が自粛ムード一色だった。政府の引き締めが効いたのだ。

生き残りに必死

ゴールデンウィーク中、東京駅や大阪駅、主要繁華街、行楽地の閑散とした様子がテレビ画面に映し出された。

人のいない新幹線のホーム。乗車率ゼロ%の新幹線もあったという。高速道路の渋滞もなかった。

日本の主要繁華街や行楽地の店のほとんどが、シャッターを下ろしていた。

町の飲食店も休業か、各地の開店規則を守りながら営業を続けていた。営業時間や3密を避けての開店だ。しかし、客がいない。店は、昼間に弁当を作って売ったり、デリバリーをしたりと、生き残りに必死だった。

テイクアウトを始めた飲食店も多い(photo by iStock)

スーパーやコンビニなど日用品を売る店は開いていた。日常生活には、不自由はなかった。マスクや消毒液は、相変わらず不足していた。都知事は「買い物は3日に1度」と呼びかけていた。

しかし、これは東京、大阪での風景。僕は神戸の端の町に住んでいるが、駅前に出ると、平常の半分くらいは人がいた。商店街の店も開いていた。住宅街では、道路で遊んでいる子供たちもよく見かけた。いつもと違うのは、町を歩く人のほとんどがマスクを着けていることだ。

ただ駅構内の店舗や、ビル内の商店街はビルごと閉まっていた。

「約70%の本屋さんが閉まっている」と編集者から聞いたのもこのころだ。東京の編集者、友人たちもほとんどが在宅勤務になっていた。

そして、連休後半に入ると、「自粛疲れ」と言う言葉が聞かれるようになった。