photo by iStock

私たちの体の大部分を占める粒子「ハドロン」の秘密を平易に教えます

物理を学ぶために「必要なこと」とは?
世の中には多様なもの・現象があり、そのほとんどについて研究している人たちがいます。高校や大学を通して、そのうちの1つを専門的に学んでいく人も多いのではないかと思います。

では、専門として「学ぶ」ためにはどのようなことが必要なのでしょうか。

奈良女子大学の永廣秀子
(ながひろ ひでこ)准教授が自身の研究や経験を振り返りながら、専門である物理や学問全体を学ぶ上で重要なことを語ってくれました。

――先生の研究について教えてください。

専門は理論物理学で、分野は原子核ハドロン分野です。

「ハドロン」の性質や構造について、実験と理論の両側面から解明しています。研究者はどちらか一方を中心に研究するのが一般的ですが、私は主に理論を研究しています。

 

――ハドロンについて、専門としていない方にもわかりやすく説明していただけますか?

まず、物体がそれ以上分けられない基本構成となる粒子を「素粒子」といいます。

現在、素粒子は17種類あると考えられています。そのうち6種類が、私たちの体などの「物質」を構成している「クォーク」という素粒子です。そして、クォークが構成している粒子のことを、総じて「ハドロン」と呼びます。

私たちの体は「原子」で構成されていて、原子は「原子核」からできています。さらに、原子核は「陽子」と「中性子」からできていおり、この陽子-中性子はクォーク3つからできています。

このようにクォーク3つからできているハドロンを「バリオン(baryon)」と呼びます。もう1種類、クォークと反粒子の反クォークからできている粒子を中間子、「メソン(meson)」とよびます。

すなわち、私たちの体の中にあるものの大部分がハドロンであるといえます。

リチウム原子のモデル Photo by iStock

――先生の研究内容にハドロン共鳴という言葉があったのですが、それについて具体的に教えていただければと思います。

まず「共鳴」「共振」から説明しましょう。ギターを演奏すると、弦が振動して大きく響くことがあります。オペラ歌手がガラスの前で歌うと、ガラスが揺れたりします。こうした現象のことを共鳴、共振と呼びます。

ブランコを例に挙げてみましょう。こぐ人の横にいて、背中を押してブランコを揺らしてあげるとします。いいタイミングを見きわめて押してあげると、振れ幅はどんどん大きくなり、最大まで振れるようになります。

Photo by iStock

その様子を頭の中でグラフ化してみましょう。縦軸にブランコの振れ幅、横軸に振動数(リズム)を取ると、ある1点(背中を押すのに一番いいタイミング)のところが高くなり、ちょうど山のようなグラフになるはずです。

このような現象を一般に共鳴と呼びます。同じように、他の現象でも、何かを観測して、山ができるような結果が出た場合、これも共鳴と呼びます。