現状に憤る保護者たちも

こうした教師たちの奮闘や葛藤をよそに、学校の対応に不満を漏らす親たちの存在もある。子供を学校に行かせる選択をした親の中には、(小学校の)最低学年と最終学年のクラスから優先的に受け入れを、という政府発表が当初はあったにも関わらず、フタを開けてみたら1週間に2日間だけしか登校できないという再開の決まりに不満を漏らし、「これはフェイク再開だ」と憤る者もいる。実際今回の再開に際しては、ひとクラスに最大15人(幼稚園は10人)という規定があり、医療関係者・教育関係者・警察官など「国家を守る」仕事につく親の子供たちから優先的に受け入れられることになっている。

 
西部ブレス市に住むある父親は、こうした学校の再開プランを聞くや否や、1週間仕事に行かなければならない親たちは子供の「預け先(=学校)」がなくなって困ったことになると思い、自分の会社の会議室を「教室」に変え、教師を雇って授業をしているという。社員の子供たちの年齢は異なるため、6つの学年が同時にクラスに集うが、現在も続く遠隔授業の課題を持ち寄り、分からないところを本物の教師に個別指導してもらえる。

さらに、学校再開の目処がたたなかった南東部モンメラン市の親たちは、森の中で自主的に「学校」を開いているという。「自分たちで森の中で授業をやってみせる」と、市の対応に不満を抱いた有志が集まり、椅子や机をかきあつめて親が教師のかわりを務めるのだという。ただ実際は思った以上に大変で、「プロの教師に頼みたい」のが本心だ。

しかしどちらのケースも結局「密」状態になるため、学校に行かせない選択をしている親から見たら、クラスター感染を心配してしまう話ではある。

こうして、5月の学校再開は「段階的」なものであるがゆえ、以前のような「当たり前のかたち」での学校は実現されていない。それは当然感染の脅威と隣合わせだからなのだが、「ロックダウン解除=元通り」ではないことをきちんと理解できていない親たちがいることも事実なのである。ロックダウン解除と同時に仕事に戻らなければならない親たちは、自分の子供も学校に行かせる必要があるために、「以前と同じように毎日学校のある生活」に戻ろうと焦っている様子が伺える。しかしそれは、残念ながら「幻想」であるとしかいいようがないだろう。