これでは「学校再開」とはいえない?

政府による半強制的な再開に、特にパリ市内外の幼稚園・小学校が頑なに抵抗した。しかし政府は開校時期を譲らず、「段階的にでも学校再開を」と繰り返し、約80%の学校がその扉を開くことになった。政策に気持ちが追いつかない教師は多く、実際5人に4人の教師が再開に不安を抱いているという。現場の難しさは前回の記事でお伝えした通りだ。

フランス日刊紙のウェブサイト「Libération.fr」では、再開1週目に「新たに第一線で闘う教師たち」として校長のインタビューを日替わりで紹介してきた。

その中には、政府が提示した「衛生プロトコル」に対し、「園庭に4m四方の正方形を描き、子供たちにそこから動くなということなどできない! 正気なのか?」という幼稚園校長の声が紹介されている。「衛星プロトコル」には、教室内や校庭では一人の生徒につき前後左右各1mの距離をとる必要があることから、最低4mの正方形の真ん中に生徒をとどめておくイメージを命じているのだ。

また、校庭でも、早歩きの場合は他人との距離を5m、走る場合に至っては10mの距離を空けると厳密に記載されており、ボールなど他人と共有するものは使用禁止だ。すると、三輪車遊びぐらいしか方法はないが、当然その間の「10m」について、教師はもはや保障できないと匙を投げている。こうなると、「学校再開」というよりも、既存の教育カリキュラムからは程遠い。

5月11日の再開を前に校内でのソーシャルディスタンスを示すマークが地面につけられている。しかし幼い子どもはこれを守れと言っても難しいだろう Photo by Getty Images

また他の校長は、再開前に一人一人の親に電話をして、「幼稚園を再開するが、子供たちが知っている今までの学校とは違ったものになる」と釘を刺した。他の子供と1mの距離を保つこと、教室内に遊び場が一切ないことなどを伝え、「(そんな条件でも)登園させざるを得ない親たちは、自分の子供がどんな思いをするかいちばん知っているはず」とし、経済的な理由から仕事を再開せざるを得ない親たちに同情を示している。また、「転んで泣いている子供や、登園後に親と離れ泣きわめく子供と、どうソーシャル・ディスタンスをとればいいというのか」と語り、児童の年齢が低くなるほど1mの距離をとることなどは不可能であるとした。