科学作家が絶品ラーメンの味を「わかり合える」理由を真摯に考えた

快著『理系の文章術』まえがき全文公開
更科 功 プロフィール

「国語なんて、どうやって勉強したらいいかわからないから、あんまり勉強しなかったわ。だから、できなかったのかしら?」

いや、多分そうではないだろう。だって、彼女だけが、国語を勉強しなかったわけではない。国語が得意な人だって、国語の勉強をそれほどしていないはずだ。

たしかに、国語を毎日勉強する人もいるかもしれない。でも、英語や数学を毎日勉強する人に比べたら、ずっと少ないはずだ。それは、誰でもある程度は、国語ができるからだ。

社会や理科はもちろん、数学や英語の勉強だって、ある程度は国語の勉強になる。そもそも(日本に住んでいれば)日々の生活自体が、国語の勉強になる。だから、みんな国語の基礎力は持っているのだ。この「はじめに」を、つまり今読んでいるこの文章をきちんと読めるなら、もうあなたの国語の基礎力は完璧だ。

 

あとは、少しコツをつかむだけだ。それには長い時間はかからない。1時間前にはまったく自転車に乗れなかった人が、今ではスイスイ乗れたりする。それが、コツをつかむということだ。

コツをつかめば書きはじめられる Photo by Depositphotos

本書は「科学に関する文章の書き方(科学ライティング)」の本である(ただし、科学にかぎらず他の分野でも、論理的な文章を書くときには役に立つだろう)。

科学に関する文章を書く機会で、一番多いのは、おそらく大学や高校での論文やレポートだろう。筆記試験では「〜について論ぜよ」みたいな問題もよく出題される。大学院生や研究者になれば、雑誌やウェブサイトに記事を書くこともある。研究費の申請書や報告書なども書かなくてはいけない。忙しいので、なかなか落ち着いて文章の書き方を考える時間は取れない。でも、本書なら、短い時間で読めるはずだ。

なお、本書には、多くの文献の文章を参考にさせていただいた。ただし、参考にさせていただいた文章の多くには、大なり小なり私によって手が加えられている。中には、本書の趣旨を説明しやすいように、わざと悪い文章に変更したものさえある。したがって、本書中の文章の責任はすべて著者にある。参考にさせていただいた文献は、巻末に挙げた。

更科功
理系の文章術 今日から役立つ科学ライティング入門
著者:更科 功
講談社ブルーバックス / 定価1000円(税別)
これまで感覚的なものとして捉えられてきた「良い文章」という概念、そして「文章の創作」を、理系向けに精緻に検証し、その実践方法を伝授する!
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