検察は「正義の味方」ではない…マスコミとの癒着と「暴走の過去」

真に懸念すべきことは何か
長谷川 幸洋 プロフィール

取り調べを受けた小沢氏の秘書は、取調室に密かにICレコーダーを持ち込んで、検事とのやりとりを録音していた。録音された会話記録が何者かによってネットに流出し、事件発覚の証拠になる、という映画さながらの展開だった。

会話記録を読んだ当時の小川敏夫法務大臣は、捜査報告書がまったくのでっち上げであることに気づく。にもかかわらず、事件を「検事の記憶違い」として、うやむやに終わらせようとする法務検察当局に抵抗して、小川氏は「指揮権の発動」を考えた。

野田佳彦首相にその旨、了解を得ようとして面談を申し込んだが、2度目の面談直前に法相を解任されてしまった。私は当時、小川氏にインタビューし、2012年6月7日公開コラムで一問一答を紹介した(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/32737)。これは、いま読み返してみても、実に生々しい。

小川氏は「捜査報告書を読んでみると、これは検事の記憶違いじゃない。とうてい言えない。…ほぼ全部が架空なんです」「(当局は)『記憶違いという弁解を破れない』だなんて言って、ちょろっと『人事で相談』なんて言ってるから、…じゃあどうするかって話になる」などと、指揮権発動を決断した経緯を率直に語った。

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小川氏の法相解任によって結局、指揮権発動には至らず、事件は「検事の記憶違い」とした最高検報告書によって幕が引かれてしまった(一連の経過を辿ったコラムは、法相インタビューを含めて拙著『政府はこうして国民を騙す』講談社、2013年1月に所収。小川氏本人による著書『指揮権発動〜検察の正義は失われた』朝日新聞出版、2013年4月にも詳しい)。

この事件についても、郷原氏は著書『検察崩壊〜失われた正義』(毎日新聞社、2012年8月)で「国民から信頼され、世のあらゆる犯罪に対して、厳正かつ公正に立ち向かうべき検察の組織の実体は、既に崩壊してしまっているのである」と、絶望感をにじませて強く批判している。