検察は「正義の味方」ではない…マスコミとの癒着と「暴走の過去」

真に懸念すべきことは何か
長谷川 幸洋 プロフィール

大阪地検特捜部「証拠改ざん」

まず、厚生労働省の村木厚子雇用均等・児童家庭局長(当時)が冤罪に巻き込まれた2009年の郵便法違反事件である。これは、実体のない障害者団体向け刊行物を同封することで、ダイレクトメール発行会社などが郵便料を不正に割引させた事件だった。

村木氏は厚労省の係長に「障害者団体を認定する虚偽の証明書作成を指示した」として逮捕されたが、係長の供述調書の多くが「検察官の誘導」によるものとして証拠採用されず、裁判で無罪になり、検察も上訴を断念した。

ところが、検察が上訴を断念した同じ日に、事件の主任検事が重要証拠である証明書を収めたフロッピーディスクのファイル作成日時を改ざんしていた事実が発覚した。最高検察庁は主任検事を証拠隠滅の疑いで逮捕、さらに上司の大阪地検特捜部長と副部長も犯人隠避の疑いで逮捕した。

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一見すると、検察は身内の検事らを逮捕したのだから、自浄能力を発揮したかのように見える。だが、実際は必ずしもそうとは言えない。

東京地検特捜部検事の経験もある著名な弁護士の郷原信郎氏は、著書『組織の思考が止まるとき』(毎日新聞社、2011年2月)で「問題の本質は、証拠隠滅ではない」と指摘し「主任検事には、特別公務員職権濫用罪を適用すべきだった」と主張している。

なぜかといえば、主任検事は「不当に作成された検面調書の証拠採用という不当な刑事裁判が行われることを画策していた」うえ、証拠隠滅罪では「無実の罪で160日以上も村木氏の身柄を拘束したことに対する刑事責任として十分とはいえない」からだ。