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園子温「ぼくはこうして悪に目覚めた」…最も影響を受けた本を初公開

わが人生最高10冊

「性」に目覚めた少年時代

30歳くらいの頃、大島渚さんから「本ばかり読むと頭でっかちになるぞ」と言われ、あまり本を読まなくなりました。とはいえ、少年期から青年期に読んだ本が、今の僕を作ったことは間違いありません。

子どもの頃にはまったのは、手塚治虫さんと永井豪さんでした。手塚さんは『ブラック・ジャック』が発表された頃で、当時読める作品は全部、古本屋で買いあさって読みました。『火の鳥』は、そのスケールの大きさに圧倒されました。人類が滅んだあと、ナメクジが進化して文明を築くとか、話が生命の起源から滅亡までに及ぶ。

突拍子もない設定は、小説にはできない漫画ならではの表現で、漫画家という職業にも憧れを抱きました。手塚さんの作品はさまざまな世代を通して読まれる「王道」ですが、永井さんの作品は当時「異端」であったと思います。

ハレンチ学園』は少年誌に連載された学校生活がテーマの作品でありながら、過激な性描写と教師への批判があり、世間でも激しい論争を呼び起こしました。僕自身はここで性の目覚めを経験し、『チビっ子猛語録』というデンマークの本でさらに性への関心を深めました。

 

『ハレンチ学園』はファンタジーですけど、『チビっ子猛語録』ではセックスとはどのようなものかが事細かに解説され、現実に即した「性」が描かれていました。これはみんなに伝えなくてはと思い、「君の両親はこんな風にセックスをしている」みたいな内容の、校内新聞をガリ版で作ったんです。

その結果、読んだ同級生がこんなのは嘘だと泣き喚いたり、先生が激怒したりと、なかなか大変なことになりました(笑)。