世界的に大ヒットし、映画化も!
女性の差別、困難を描いた衝撃作

続いてご紹介する『82年生まれ、キム・ジヨン』も大ヒットした小説で、韓国社会における女性差別の実態が描かれています。韓国で刊行後すぐに話題となり、いろんな芸能人がおすすめしていたので日本語版が発売されてすぐに読んだ一冊です。

BTS(防弾少年団)のRM、少女時代のスヨン、Red Velvetのアイリーンなどのアイドルもこの本について言及したことが話題になったほどで(バッシングもあったようですが)、韓国では130万部を超えるベストセラーに。中国、台湾でも大ヒットし、アメリカ、イギリス、フランス、ベトナムなど22ゕ国・地域でも翻訳されています。

また、韓国の人気俳優チョン・ユミと、コン・ユの主演で映画化も! 韓国では映画公開後1ヶ月で観客動員が350万人を突破する大ヒット作になったそう。日本での公開(2020年10月予定)も決まったのでとても楽しみです。

そんな話題作ですが、主人公のキム・ジヨンの誕生から、結婚・出産・子育てするまでの半生を具体的に回顧していき、韓国の女性が日常的に経験してきた男女差別やセクハラ、社会的困難を描いたフェミニズム小説のため、男性と女性で感想に相違も。それが原因で一部の男性からはバッシングも起きたとか…。もちろん男性の意見もさまざまあると思いますが、ひとつ言えるのは「女性の被害者意識」をただ描いた小説ではないということ。

私が主人公と同じ経験をしていないこともあり、理解しづらいことや共感しづらい部分は正直ありました。ですが、韓国と社会構造も慣習も文化も違う日本に生きる私たちにも「他人事じゃない=自分ゴト」として考える部分が随所に盛り込まれていると思います。

「フェミニズム小説」と聞くと、なんだか気難しくて手が出しにくいイメージがあるかもしれません。でも、この小説は精神科の担当医が書いた患者のカルテという体裁で展開していくので、いい意味で小説っぽくなくて読みやすい。また過去から現在までのその時々の出来事や歴史的背景の説明、雇用や出産率など実際の統計データも盛り込まれているので、韓国好きとしては勉強になりました。

先日、韓国で起こった性犯罪「n番部屋事件」が報じられました。もし、この事件が『82年生まれ、キム・ジヨン』に描かれたような女性差別や嫌悪が根底にあって起こったのなら…勝手ながらそんな想像をすると残念ですし、悲しすぎて言葉がありません。

韓国に行くと、食堂のおばちゃんやおじちゃん、カフェのお姉さんやお兄さんなど、日本人である私に皆さん本当に親切にしてくれて温かい。10年以上もその魅力に取り憑かれた大好きな国だからこそ、誰もが摩擦なく暮らせる社会になることを願います。

82年生まれ、キム・ジヨン』(著者:チョ・ナムジュ 訳:斎藤真理子)/筑摩書房