新型コロナウイルスの影響で「いつになったら旅行に行けるのだろう…」と思うばかりで、旅の予定が組めないまま自宅にこもるツライ日々が続いています。でも今は我慢の時期! そんな思いを抱えているのは皆さん同じ。韓国に少なくとも毎月1回は行っていた韓国ツウのスタイリスト池田めぐみさんもその1人です。

これまでの連載では、韓国で話題のカフェやトレンドスポットを紹介していましたが、この状況だとそうはいきません。そこで今回は、池田さんが韓国への思いを馳せながら自粛期間中に読み返したという、おすすめBOOKをご紹介。日本でも話題となった韓国人作家のベストセラー小説です。まだ読んでいない方はぜひチェックしてみてください。

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“かわいい怪物”が主人公の
本屋大賞を受賞した感動作

まずおすすめするのは、韓国で40万部を突破し、世界13カ国で翻訳されている『アーモンド』。2020年本屋大賞翻訳小説部門第1位を受賞した日本でも話題の小説です。

カバーを見たときは「漫画なのかな?」と思ったのですが、全然違っていて(!)まさか自分がこんなにも泣くとは…!な作品でした。

若干ネタバレが含まれますが、生まれつき扁桃体(アーモンド)が人より小さいため、怒りや恐怖などを感じることができない主人公・ユンジェが、不良少年の友達・ゴニと好きな女の子・ドラに出会い、「愛」によって成長していく物語です。ちなみにこの主人公は、おばあちゃんから「かわいい怪物」と呼ばれています。

感情がないということは今の自分からすると理解しがたい部分ではありますが、感情のないユンジェと、感情がありすぎる(すぐキレるという表現が近いかな?)ゴニの対比がおもしろく、一見合わない2人なのですが、徐々に打ち解けていく姿に感動します。

また、ユンジェは15歳の誕生日に目の前で家族が通り魔に襲われ、おばあちゃんが亡くなり、お母さんは植物状態に。普通の人間であれば、悲しみや寂しさ、喪失感を持つはずですが感情のない彼はそんな素振りを見せず…。そんな彼が少しずつ感情を持っていき、ちゃんと成長していく展開も感動的なのです。

ストーリーのおもしろさはもちろんですが、無駄がなく読みやすい文章でスラスラと読み切ることができます。また、いじめや事件などの残虐シーンや、ユンジェとゴニのやりとり、ユンジェとドラの甘酸っぱさなど、小説の中の光景がパッと思い浮かぶ描写も素晴らしい! 著者のソン・ウォンピョンさんが映画監督としても活躍されていると後から知って、すごく納得しました。

わざとらしく感動させようとしていないし、読み終えた読者に考えさせる部分を作っているところもおすすめしたいポイント。ぜひ映画化してほしい作品です!

アーモンド』(著者:ソン・ウォンピョン 訳:矢島暁子)/祥伝社