新たな事業の柱に
2500円分の価値があるもの。水沼宏太がEテレの「ストレッチマン」をモチーフにした「コウタッチマン」になってストレッチを教えるなど、選手たちが受け身ではなくむしろ積極的にアイデアを出してくれたからこそ成功につながったと言える。
オンライントークショーは始まりにすぎない。
永井さんは語る。
「過去のデータで言えば、1年間で大体10万人~15万人の方がホームのスタジアムに足を運んでくれています。分かりやすく入場料収入を10億円とすると、1人のお客さまで1万円使っていただいている計算になる。試合がなくて10億円分を埋めなきゃと思うとちょっと気が遠くなりますけど、お客さま1人に1万円使っていただけるようなものを提供できないかと考えるようになりました。だから我々としてはビジネスモデルが変わるくらいの覚悟を持って取り組んでいます。
クラブの価値をもう一度掘り起こして、お金をいただくに値する資産があるのではないか、と。新しく事業の柱をもう1つ作るというイメージです。もちろん社会貢献活動や応援してもらっている方への支援は引き続きやっていきながら、それと併行して収益を得るものを展開していければいいなと思っています」
補填ではなく、新たな事業の柱にしていくという発想である。
インスタライブなどオープンでの無料コンテンツ、ファンクラブ限定のコンテンツ、または今回のトークショーのように単発での有料コンテンツとターゲットを分けながら、ストリーミングによる企画など様々な提案が上がっているそうだ。
「サッカーにあまり興味のなかった人が、たとえばトークショーなどで選手のキャラクターに惹かれてファンになってくれることだってあると思うんです。対象を広げるところ、狭めるところを考えながら、F・マリノスの価値を打ち出していくことでビジネスチャンスに結び付けていきたい」
ピンチをチャンスに――。
新たな収入基盤の開拓が、Jリーグクラブの希望につながる。