拙速な9月入学に対する反対の署名運動がスタートした。ただし、これは9月入学そのものに反対というよりも、実現させるには社会全体の大きな工事が必要な9月入学に頼るのではなく、今目の前の子どもたちの学びを確保することが最優先だという意見だ。

片や「9月入学」をいま推し進めたい意見の中には、「受験生がかわいそうだ」という意見が多く見える。そういう意味では、賛成も反対も「子どもたちのためにこうしたい」と思って議論をしているといえる。

ここで最も大切なのは、学生たちや教師たちの現場を「今」支えることだ。お子さんの大学受験・一浪を経験したライターの河西真紀さんが、大手予備校教師に聞いた「受験生や親が今出来ること」とは。  

写真のように休校中に自宅でICT授業を受ける風景が珍しいものではなくなった。今後学校休校の中で、どう学習していくのか、受験生と家族の悩みは尽きない photo/Getty Images

浪人、特に理系浪人生には有利な状況に?

ある都立高校で数学を担当する教師は、「2021年の大学入試は、理系、とくに医学部受験は、浪人生にとって有利な状況となるのでは」と予想する。

私立の中高一貫校、特に進学校の場合、大学受験に必要な範囲の勉強は、高2のうちに終わらせるようカリキュラムを組んでいる学校が多い。しかし、公立校では、高3の2学期をまるまる費やし、出題範囲の授業を行うことも珍しくない。

「理系の場合、公立校では高校3年で教える『数学3』と理科(発展科目)の試験出題率が高い(前述 都立高教師)」のだが、今年はコロナの影響で、この範囲についてまだまったく授業ができていないケースが多い。それどころか、高2の3学期で学ぶべき範囲も消化しきれていないのだ。万が一、今後、文科省が大学受験の出題範囲を狭めたとしても、高2の範囲が削られるとは考えにくい。年度をまたいで取りこぼしてしまった内容は、今、この時期になんとか穴を埋めておく必要があるのだ。

そう考えると浪人生の方が有利ですよね。また、現役でいえば、公立校と比べれば、試験範囲の学習をすでに終えている中高一貫校の生徒には、休校の影響が少ない。特に医学部志望の公立校生は、かなり厳しい状況です(前出 都立高教師)