旅好きセレクターによる、旅へと誘う本をご紹介! 今回は、写真家の幡野広志さんに選書してもらいました。

旅心を触発される本

一人旅に行くときはいつも本を持っていく。撮影のために車中泊をしながら日本中をまわっていた20代の頃に、古本屋をみつけると本を買って、眠る前に読んでいたことがきっかけで旅に本がかかせなくなった。

旅先で読むのは、小説や料理や釣りの実用書など旅以外の本だ。旅は今やっているから旅の本は読まなくていい。ここで紹介する本は、近所のカフェで手にして旅に出たくなる本。旅の本を読むとウズウズする。自分が体験していないような旅であればあるほど。

ツンドラ・サバイバル
服部文祥 著

みすず書房(2015)
大自然に体ひとつで飛び込み、命がけの登山をする著者。日本の山からロシア北極圏まで渡り歩いた人気サバイバル・エッセイ第3弾。

『ツンドラ・サバイバル』は狩猟や釣りをしながら登山をする登山家の本。旅というよりも冒険に近い。前半は日本国内でのサバイバル登山、後半はロシアでの狩猟の旅と現地のハンターとの出会いの旅。一歩間違えれば命を落とす旅、男のロマンがつまった本だ。

Walkabout
竹沢うるま 写真・文

小学館(2013)
3年弱で巡った103の国。そこで見た人や風景を280点という膨大な写真で魅せる迫力の写真集。地球一周を追体験できる。

『Walkabout』は3年弱で100ヵ国以上を旅した写真家による写真集。写真がいいのはもちろん、あとがきも素晴らしい。終わりを決めずに出発し、旅を終える決意をするきっかけになったチベットでの出来事に胸が痛む。

アジアン・ジャパニーズ
小林紀晴 写真・文

情報センター出版局(1995)
’90年代のバックパッカーブームを写したベストセラーであり、著者の代表作。アジアを流離う日本人たちの孤独と葛藤が写る。

『アジアン・ジャパニーズ』はアジアを旅する日本人の旅人らを、写真家がルポした本。目的のない旅には、遠くへ旅をすることで何かを得られるかもしれないという願いがある。何かを得られる人もそうじゃない人もいる。同じ地域を旅しても得られるものはそれぞれ違う。それは日本での生活や性格が大きく反映されるのかもしれない。

PROFILE

幡野広志 Hiroshi Hatano
1983年生まれ。2017年多発性骨髄腫を発病。余命3年の宣告を受ける。近著に『なんで僕に聞くんだろう。』(幻冬舎)がある。


●情報は、2020年3月現在のものです。
※本記事内の価格は、すべて税込み価格です。
Photo:Toru Oshima Edit:Yuka Uchida