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9・11と3・11から読み解く「コロナ禍における人間の行動」

愛着説と経済説から
田島 寛 プロフィール

コロナと新生児

出生数への影響はどうだろうか。

9・11では年度ごとに結果が分かれたが、3・11では2年平均して震災の前の年を上回った。今のところ、3・11で被曝した母親から生まれた子供達の影響について問題となる報告はない。

ただ、福島県立医大が行ったった被爆した母親の心理調査によると、11年度に妊娠したり、出産したりした女性が1番不安に思うことは被曝の影響で、鬱傾向の人も25.6%いた。11これに対して、コロナの場合は産婦が感染したケースが学会誌で9例、インターネット上でも33例しか報告されていない。

新生児が感染したのはその中の3例だけだが、感染が妊娠中なのか、出産後だったのかは明らかにされていない。その上、感染したのは出産が近い産婦で、妊娠初期に感染し、発熱したり肺炎になったりしたケースは含まれていない。事例が少なすぎて、何らかの結論を出すのは困難だ。12,13

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このような状況では妊娠している女性や、出産を控えている女性、さらに、これから子供を作ろうと考えている夫婦の不安感を完全に払拭することは難しい。大切なのは、妊婦や乳幼児がいる家族が迅速にPCR検査を受けられるシステムを構築することである。

今のところPCR検査を受けるにはまず病院に行って、医師が必要と判断した場合は保健所に連絡し、検査を受けてから結果が出るまで2、3日待たなければならない。このような検査体制では妊婦に安心感を与え、新生児の健康を守るには不安がある。

ただ、気温が高くなるにつれ、風邪やインフルエンザの患者が減ることが予想されるので、コロナの検査がより迅速に受けられる可能性はある。さらに、抗体検査キットの承認も近いという。

しかし、緊急事態宣言が出された7都道府県の出生数は全体の約半数を占め、14初婚平均年齢も他府県より高い。15カップルの出産計画がコロナで先送りされれると、妊娠への不安材料も増え、第2子出産への影響も懸念される。

自主規制が終わっても、お里帰りは以前のようにはいかないだろう。さらに、コロナによる、倒産や失業などの経済的影響も考えると、今後の出生数は落ち込む可能性がある。