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# 社会 # 新型コロナウイルス

9・11と3・11から読み解く「コロナ禍における人間の行動」

愛着説と経済説から

9・11と呼ばれる同時多発テロがアメリカを襲ったのは今から20年前の2001年だった。私はその4日後にメディテーションセンターの立ち上げを手伝うためにニューヨークを訪れた。いつもならブランチを楽しむ客で賑わうはずのニューヨークの街は、まるでゴーストタウンのように閑散としていた。

そして、今またニューヨークから同じような街の映像が送られてきている。

愛着説と経済説から見たアメリカの災害

人間が災害などの危機的状況に遭遇した時、どのような行動を取るかについては2つの説がある。

一つは経済状況が悪化し、結婚と出産は減るが、離婚は増えるという「経済」説、もう一つは災害の恐怖から家族関係の重要性を再認識し、結婚と出産はともに増えるが、離婚は減るという「愛着」説である。1

9・11の約10年前の1989年に、ハリケーンヒューゴの襲来でノースキャロライナが大きな被害を受けた時、結婚も出産も、それぞれ10%に5%と増えたが、離婚も20%と増加した。結婚と出産は「愛着」説の予想通りだったが、離婚については「経済」説の見通しが正しかった。2

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ニューヨークの同時多発テロでも、結婚は20%増えた。市の病院は出産が増えるのではないかと準備をしていたが、翌年の出生数は1.2%の減少だった。離婚はハリケーンヒューゴの時と同じように増え、18%の増加となった。3

最終的には結婚する人が増え、子供を産む人は減り、離婚する人は増えた。言い換えれば、被災者の行動パターンを「愛着」説か、「経済」説かのどちらかで説明することはできなかった。

しかし、2年後には出生数が若干増えている。テロに襲われたのが9月11日だったためか、移民の流入で出生数が増加したのかは定かではない。アメリカ全体では結婚、出産、離婚の増減傾向に大きな影響はなかった。4