ようやくALSと判明した「激烈に痛い検査」

そして検査入院から3週間が過ぎた頃、いよいよ病名が見えてきました。

筋生検と言われる筋肉検査で、私が行ったのは太ももから筋肉を採取する「大腿直筋生検」でした。局所麻酔をして直接太ももから筋肉を採取する検査です。担当医曰く「色々な事が分かる優秀な検査」だそうです。ただ1つリスクがあるのは「太ももを切る時は麻酔を使いますが、筋肉を取るときには麻酔は使えないので痛いのです」とのことでした。

1つで充分なリスクです……実際ものすごく痛かったです。
おまけに採取の段になって、
「検体提出用の1つが取れました、もう一つ病院用にいただいても良いですか?」
「(駄目なんて言えないだろぉ~~)良いですよ!」
「ではいただきます」
「(もう1回来るのか?)来た~っ、痛ぁ~~っ!」ということがありました。 

そしてこの時も「筋肉見ますか?」と嬉しそうに聞かれて、見てみると「小さなヒレ肉」でした。この筋生検の検査でも「該当する疾患は無し」でした、痛みと小さなヒレ肉と引き換えに、かなり病名が絞られてきました。

重症筋無力症の疑いで検査入院し、途中で治療検査も追加して「重症筋無力症」「遺伝性の難病」「筋肉が原因の難病」などが消えていきました。

針筋電図検査」とは、筋肉に針を刺して電気を流す検査です。全身の色々なところに針を刺し「末梢神経電動速度」を測定します。手足の運動神経や感覚神経を電気で刺激して反応を見るのです。実は入院前にも1回実施していて「疑わしい反応」が出ていたのでした。満を持しての2回目の検査です。

「この検査は非常に判定能力が高い検査なのです、ただ一つリスクがあって……」
「痛いんですよね、覚悟はできてます、思いっきりやってください!」

この2回目の検査で独特の波形反応やALSの特徴である「筋肉のピクつき」が顕著に認められました。

担当医から主治医に報告があり、教授やチームでの確認がされて、病名を告げられたのです。
津久井さん、あなたの罹患している病気はALS(筋萎縮性側索硬化症)であると思われます

検査の結果や診断の経緯が印刷されている10数枚の紙の説明を受けた後に、再度言われました。
以上の結果でALS(筋萎縮性側索硬化症)が該当している病名であると診断させていただきます

名無しの権兵衛の病気はALSでした。
しかしながら候補に挙がっている病気の中でも一番つかみどころのない病気という印象なのでした。

ここから、本格的にALSとの付き合いが始まるのです。
そして、この病気は思っていた以上に厄介な病気なのでした。

【第1・第3土曜日連載「ALSと生きる」次回は6月6日(土)公開予定です】

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