画・田中ひろみ
# 般若心経 # 科学 # 大槻義彦

「慣性の法則」も「相対性理論」も結局、釈迦の教えと同じである

釈迦は、偉大な哲学者で科学者③
物理学者の大槻義彦教授は、世の中の真理を『般若心経』に見出した。それは、ライプニッツ、マルクスなどの西洋の思想や、ニュートン、アインシュタインが提唱した科学理論も包括しているのではないかという。さらに『般若心経』は、経済学も含めた人間社会すべての領域に力を発揮するというのだ。

構成・イラスト/田中ひろみ

第1回:「科学の本質は『般若心経』にあり!大槻義彦教授は気づいてしまった…」

第2回:「色即是空、因縁果、ライプニッツ…大槻教授が釈迦に学んだこと」

確固としたものは無い

前回、『般若心経』全般にわたって、島田裕巳先生の解説を引用させていただいたが、これから述べる科学や物質、宇宙や物理学において、とくに関係のある4つ「色即是空」「因縁果」「不生不滅」「不増不減」について、島田先生に、より詳しい解説をしていただいた。

これは、私のこれから述べる科学と科学哲学における仏教の役割について、とても重要なことだ。

画・田中ひろみ

以下、島田裕巳先生の解説である。

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「色即是空」「因縁果」「不生不滅」「不増不減」はどれも同じで、基本は「空」をいろんな言い方で言っている。

「色即是空」が中心で、「空」として世界を見る見方が「般若心経の本質」と考えていい。「空」という実体としてはない。物として見えているのは、確固としたものは無いというのが基本。いろんな角度から言っているだけ。言いたいことは、それだけ。

みんなが常識だと思っていることや、これは絶対存在していると思っていることが、実はそうではないということだ。

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この宇宙はすべてが運動と変化をしている、つまり「空」なものであるとすれば、何か他に「固定されて、動かないもの」「変化しないもの」、つまり「空でないもの」は宇宙にないのであろうか。

それが厳然としてあるのだ。真理という「原理」「原則」「法則」というルールである。

19世紀までは、物質あるいは質量(重さ)が、この変化しないもの(不変なもの)ではないのか、と言われた。

そしてそれが「物質不滅の法則」「質量保存の法則」(化学反応の前と後で物質の総質量は変化しないという法則)などと呼ばれた。

 

物理学における「絶対不変なもの」

しかし現代の科学、物理学ではこれは否定されている。それならば、「絶対不変なもの」は他にないのか。

この問いを、「保存法則」(物理的変化あるいは化学的変化の前後で物理量の値が変わらないという法則)はないのか、と問い直すこともできる。ここで「保存」というのは「変わらないもの」という意味である。

それがあるのだ。

それは、「運動の勢い」と呼ばれるものである。もちろん、この「運動の勢い」は速度と関係する。速度が速いほど勢いは大きくなる。また質量は大きい(重い)ほど大きくなる。

飛んでくる石に当たったとき、石の速度が大きいほど、石が重いほどダメージは大きくなるのだ。この量は「エネルギー」と「運動量」と呼ばれる。

エネルギー=質量×速度×速度に比例する量
運動量=質量×速度
画・田中ひろみ

ただし、これはニュートン力学の段階の定義であり、ミクロな原子物理の世界になれば、表現は異なってくる。エネルギーと運動量はいついかなる時にも、いかなる場所でもいつも不変なのだ。これが般若心経でいう「不増不減」「不生不滅」の真理と同じということになる。