論文が書けなくなった女性研究者たち

性別による差別に注目すると、上記の同僚のように、育児などのケア労働を女性が中心的に担うことで女性自身のキャリアの構築が困難になるという傾向は、今回の感染拡大が起こる前から世界中で問題になっていたわけだが、新型コロナの感染拡大に伴い今、この傾向がさらに強まってきている。

例えば、4月24日付けでThe Lily(ワシントンポスト)に掲載された記事では、外出制限に伴い、休校中の子供のケアに多くの時間を割くことで論文を書く時間を確保できず、キャリアが苦境に立たされている女性研究者の例が紹介されている。

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また同記事には、感染拡大に伴い、さまざまな国際科学雑誌において、男性研究者達の論文投稿数は増加傾向にすらある中で女性研究者達の投稿数が明らかな減少傾向にあるとの編集者たちの声を紹介している。分野によっては、女性の論文投稿数が半減する一方で、男性のものはおよそ1.5倍に増えていたという。つまり、外出制限という状況が女性のケア労働の増加につながり、女性が家で行う仕事の生産性を減少させているのだ。