競泳のクロールの泳ぎ出しで、手をかく前に急いでバタ足をする必要はない、と順天堂大学などの研究グループが発表した(プレスリリースはこちら)。
水の抵抗でかえって減速することを実験で証明したという。選手がはじめの段階のバタ足を止めることで、記録の向上が期待される。
実験したのは同大スポーツ健康科学部の武田剛准教授、筑波大学体育系の高木英樹教授らのグループ。日常トレーニングを積み、全国規模の大会出場経験を持つ男子選手8人が、1週間の練習を経て実施した。
動作のパターンを、(1)プールの壁を蹴った後、両足をそろえてキックするバタフライキックだけを5回行ってクロールを泳ぎ出す、(2)バタフライキック5回の後に6回のバタ足を追加してクロールを泳ぎ出す――の2通り設定し、水中カメラで撮影して両者の速度の変化を比較した。
その結果、バタ足をすると、しない場合に比べ平均で秒速31センチ遅くなった。
実験に基づくと、バタ足を6回すれば、しない場合よりも約21センチ差が付くことになるという。その後のクロールで速度は復帰するものの、バタ足による遅れは取り戻せず不利になることが分かった。