「10万円給付」にマイナンバーカード普及が間に合わなかった日本の不幸

「健全な監視社会」は実現可能か?
大原 みはる プロフィール

「国の管理」と「利便性」

将来的な話になるが、公権力側がマイナンバー制度を使いこなせば、給付金の申請手続きなどというまどろっこしい手順を踏まずに、カードに直接金銭相当のポイントを付与することで給付にかえることすらできるかもしれない。

そこまでは無理でも、せめて各人の金融機関の口座とマイナンバーを紐づけておくだけで、事務は抜群に効率化できる。また、例えばマスクや消毒液のように品薄の商品は、カードを提示しないと買えないようにして購入履歴を把握すれば、買いだめを阻止し実質的な配給制を構築できるかもしれない。

これらは、まさに国民の生活・消費行動を国が把握し、コントロールすることにほかならない。

それでも今回、かなりの数の国民が、このような危機には国を挙げた措置が必要になることを改めて認識し、給付金に関する混乱が落ち着いたら、自分もマイナンバーカードを持つべきだと考え始めたのではないだろうか。行政目線でいえば、コロナ禍というピンチがカード普及の最大のチャンスとなりつつあるのだ。

 

もちろん、カード以外の部分を含めたマイナンバー制度自体は今なお課題が少なくなく、中途半端な仕組みであることは筆者も否定しない。特に、パソコンやスマホを持たない人でも、今回のような申請がオンラインでできる環境を確保することは急務だ(図書館等の公共施設に専用端末を設置する、コンビニの多機能端末の活用など検討の余地はいろいろある)。