「10万円給付」にマイナンバーカード普及が間に合わなかった日本の不幸

「健全な監視社会」は実現可能か?

なぜこんなに普及していないのか

コロナ禍への対策として実施されることになった「国民一律10万円給付」。マイナンバーカード所持者は、郵送申請者と比べて銀行口座での受け取りも早いとされるオンラインで申請ができる。しかし現時点で、たかだか国民の15%程度しかカードを持っておらず、持っていてもカード単体では手続きできない(カード読み取り装置を接続したパソコンや、アプリをインストールしたスマホが手元に必要)。

連日の報道でも明らかなとおり、この期に及んでマイナンバーカードの新規交付申請をしようとする住民が地元の役所へ押しかけ、一時期のドラッグストアの行列のごとく「三密」が発生するという本末転倒の事態も起きている。

ここで政治や行政の非を論ずることはたやすい。しかし冷静に考えてみると、本来ならこうしたオンライン申請こそ、マイナンバーカード導入の真価が発揮される最大の「見せ場」だったはずだ。せめて国民の半数程度に普及していれば、「導入していてよかった」とそれなりの賛辞があったかもしれない。

写真はイメージです(Photo by gettyimages)
 

そもそも、マイナンバーカードがこれほど普及しなかったのはなぜだろう。

公権力による情報の一元管理に対する国民の根強いアレルギーを指摘する声もある。しかし、行政の現場をウォッチしてきた筆者としてはもっとシンプルに、カード導入(普及)のメリットが行政側に偏っており、大多数の国民は「何の役に立つのか」が十分実感できなかったことに尽きる、と考えている。いや、今回の事例が示すように、実は国民にも大いにメリットがあったのだが、それを十分に伝えきれなかったからというのが正確かもしれない。