いじめで大怪我をした
いとこのヒトミちゃん

ちょうど同時期に、いとこのヒトミちゃん(仮名)もいじめを受けていることがわかった。彼女は母の二番目の姉の娘で、ぼくより少し年上の子だった。

ヒトミちゃんのいじめについて相談しにやってきた伯母は、祖母の前で涙ぐみながらどうしたらいいのかと訴えていた。聞いてはいけない話のような気がしたものの、ぼくはその場を離れることができなかった。

すると祖母が言う。

もっともっと祈りなさい。そうすれば必ずいじめはなくなるから

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やっぱり、そう言うよな。予想していたけれど、祖母の言葉に少しだけ落胆してしまう。

ただし、伯母はそうではなかった。彼女は祖母の言葉に深く頷き、涙を拭う。その涙は先程まで流していたものとは異なり、祖母が話す神様の偉大さに感動していることを表していた。

「そうだよね。どんな苦境も、祈れば乗り越えられるんだよね。私も娘も、祈りが足りなかったんだと思う」

すっきりした様子で伯母は帰っていった。その後ろ姿を見送りながら、祖母は「大丈夫」と呟いた。

けれど、大丈夫、ではなかった。伯母が相談に来てから数カ月後、ヒトミちゃんは大怪我をした。学校の自転車置き場で突き飛ばされ、前歯を折る重症を負ってしまったのだ。それを機にヒトミちゃんが受けていたいじめは明るみとなり、やがて事態は収束した。

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結果的にヒトミちゃんへのいじめはなくなった。ただし、彼女が払った代償はとても大きなものだった。