提供/ロート製薬
相変わらずの「アンチ体臭ブーム」が続いているが、人はなぜ、臭い(くさい)ニオイが嫌いなのだろうか。実は、人間以外の動物には、臭いとか、いい匂いという感覚はないらしい。代わりにあるのは、自分にとって、味方のニオイ(敵のニオイ)、心地良いニオイ(不快なニオイ)、安全なニオイ(危険なニオイ)など。人間の場合は、進化の過程で、危険や安全をニオイで判断する必要が減り、「=危険」と思われていたニオイが、臭いに変化したと考えられている。
ニオイの情報は、他の感覚(視覚、聴覚、触覚、味覚)が視床・大脳新皮質などを経てから大脳辺縁系に伝わるのと違い、大脳辺縁系の偏桃体や海馬といった情動・記憶を司る部分にダイレクトに届く。つまり、理性よりも先に心や身体が反応するようになっている。これは動物が生存するために、食べ物をみつけ、天敵から逃れ、異性と結ばれて子孫を残す上で、嗅覚が重要な役割を果たしてきたことに関係している。理性で判断してから行動するようでは生き残れなかった頃の名残なのである。
では近年、特に若い女性から、臭くてたまらんと嫌われている「加齢臭」はどうだろう。その名の通り、加齢に伴って増していくニオイなのだから、決して危険のサインではない。
それなのに顔をしかめる女性がいるのは、嫌いな上司や、混雑した電車での不快な体験のイメージに紐づけされているせいか、あるいは単純に「老い」に対するマイナスイメージがあるせいなのか。定かではないが、加齢臭があるだけで、見た目や人間性とは無関係に、しかも瞬時で「苦手」なグループに分類されてしまう可能性があり得ることは否定できない。
理不尽な話だが、逆に言えば、「好感度を高めたいなら、見た目よりもニオイのコントロールが大事!」ということになる。これ、意外と気付いていない男性は多いのではないだろうか。