コロナ禍のイタリア人がマンションの「バルコニー」で歌い踊る理由

「誰も音楽を封鎖できない」
生田 哲 プロフィール

慢性ストレスを解毒する音楽 

過度に緊張した神経を鎮める手段はいくつもある。たとえば、エクササイズ、深呼吸、瞑想、ガーデニング、ダンスなどのあらゆる創造的な活動である。

だが、ストレスに対する最も強力な解毒剤のひとつは、自分の大好きな音楽を聴くこと、もし音楽家や声楽家なら自分で音楽を創作することである。これを実践したのが、イタリアの街だ。3月16日、イギリスのクラシック音楽を専門とするサイトは、こう報じた※2

「誰も音楽を封鎖できない。イタリア人はロックダウンされた街のバルコニーで楽器を弾き、歌を歌った。コロナの感染爆発によって市は完全に封鎖されたため、音楽家や音楽愛好家は自宅のバルコニーで美しい演奏を披露した」

ロックダウン中のイタリア。住民がバルコニーで即興で演奏し、リスナーはワインなどを傾けながら楽しむ様子が見られる photo by gettyimages
 

自分の好きな音楽を聴くと気分がよくなり、人生で起こった思い出の時、場所、出来事がよみがえる。音楽は気分を高め、不安を落ち着かせ、たとえ心がブルーであっても喜びの状態に移してくれる。この喜びの状態において、脳と腸内神経系(しばしば第2の脳と呼ばれる)は、免疫力を高めるドーパミンをつくる※3※4。それから音楽は、粘膜の免疫を高めるイムノグロブリンAと、侵入してくる病原体を撃退するナチュラルキラー細胞(NK細胞)を増やす※5

今回のコロナ病を防ぐのに、ウイルスが感染し増殖する拠点である粘膜の免疫力を高めるのは非常に有効と思われる。そして好きな音楽を聴くことによってコルチゾールの放出が低下する※6

喜びは脳下垂体を刺激し、陶酔感を与え、痛みを和らげるエンドルフィンを血中に放出させる。家の掃除など退屈な日常の活動中に好みの音楽を聴くのは、ストレスを軽減し、免疫力を高める最善の方法のひとつである。音楽療法をまとめるとこうなる。

音楽 + 喜び = 免疫力アップ

簡単にいえば、心が怖れから喜びの状態に転移すれば、人体はウイルスやその他の病原体をより効率よく取り除くことができる。