区分変更で介護度が下がった理由とは

後日送られてきた介護度の決定通知を見て、正直驚いた。要介護1。低くなってる。なんじゃこれは。デイケアなど、受けられるサービスが少なくなってしまう。
すぐさま役所に電話を入れ、住所と私と母の名前、介護保険の番号を伝えて尋ねた。 

「先日、母が介護認定調査を受けたんですが、介護度が低くなって戻ってきました。どういう理由なんでしょうか」
相手は、内容を確認して折返し電話すると言った。しばらくして役所から連絡が入った(おそらく現在では、個人情報なので電話では答えてもらえないだろう)。

「お母様の場合、排泄は自立しており、歩行はリハビリ等で改善されると判断されました。状態の改善が見込まれる状態なので、介護度が下がったのです」

認知症についてはひと言も触れない。なぜだ。

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「ちょっと伺いますが、母は脳血管性の認知症と診断されています。アルツハイマーではありませんが、できないことや理解できないことが増えていて、日常には見守りが欠かせません。改善の兆候もありません。脳血管性の認知症って、リハビリすれば元に戻るものなんですか?
いく分キレ気味に尋ねると、相手は「えっ」と声を上げた。

認知症……なんですか?

「そうですよ。ちゃんと●●病院で確定診断されていますし、調査の際もお知らせしていますよ。ちゃんと書類、見てくださいました?」

むかっ腹が立って問い詰めると、なんと認知症である事実が認定会議の俎上に上がっていなかったと言う。母の介護のメイン要件なのに、なんという杜撰さ。

しどろもどろになった担当者は、その後の方策として「改めて区分変更を申請してください」と提案し、電話を切った。ケアマネジャーに事の次第を伝えると、その方向で動いてくれることになり、その後母は要介護2に認定された。

役所とのやりとりでは、ときどき、誰のためのサービスなのかわからなくなるような事態に遭遇した。喧嘩はしなくていいけれど、へこまずに、疑問点はきっちり尋ねて明らかにしていったほうがいい。もちろん努力してくださるスタッフの方はたくさんいる。でも役所のほうが偉いわけではないし、役所がすべて間違いなく認識しているとも限らないのだ。

文字を愛し、言葉を愛していたが、今では前のように触れられない母。それでも、時として驚くような記憶力を発揮する母。そんな切ない思いを抱えながらの日々を送る中、役所の人が認知症を認識してくれていなかった。それが、現実だった Photo by iStock

【次回は6月9日(火)公開予定です】

上松容子さん連載「介護とゴミ屋敷」今までの連載はこちら