以上は悪い倒産の例である。一方、良い倒産とは、悪い倒産の裏返しである。
経営者は、自殺も夜逃げもしてはならない。
経営者の責任の取り方は、破綻した企業をきちんと倒産させることである。そして、経営者は、どこかで企業の先行きに見切りを付けなければならない。
友人・家族から返す宛のない金を借りたり、犯罪の誘惑を感じたりしたら、倒産を決断すべき時である。
そして、いったん倒産しようと考え始めたら、すぐに弁護士に相談に行くべきだ。
特に今は、あらゆる手続に時間がかかるので、早ければ早い程よい。
弁護士に相談に行ったら、無理矢理倒産させられてしまうとお思いかも知れないが、そんなことはない。
最終判断は、経営者に委ねられている。弁護士が経営者に無断で破産や民事再生を申し立てることはない。
最後に、いま述べた通り、破産にせよ民事再生にせよ倒産手続は、原則として弁護士に頼むしかない。しかし、経営者によっては弁護士の知り合いがいないことも少なくないだろう。そこで、帝国データバンクや東京商工リサーチの倒産速報記事に出てくる申立代理人や破産管財人などの法律事務所に連絡する方法を紹介しておきたい。この両組織とも、それらの情報をネットで公開している。
このようなところに出ている申立代理人(弁護士)は、倒産手続の場数を踏んでいることが多い。さらに、破産管財人(同)は、裁判所が倒産手続の知識・経験のある弁護士の中から任命するので、いずれも倒産手続に習熟している可能性が高い。
ただし、大型倒産事件を手がけるととても忙しくなるので、出たばかりの倒産速報記事で弁護士を探すのは避けた方がいいだろう。
以上のようなことが、倒産を危惧している経営者の方々の何かの参考になれば幸いである。